#48 疑惑 2 ページ48
(リヴァイ視点、リヴァイとエルヴィンの会話)
座ったはいいが、エルヴィンはなかなか話を切り出さねえ。
何を口ごもっているのか、Aの顔を見ては、意味深な溜息ばかり吐いてやがる。
苛立った俺は、先に沈黙を破ることにした。
リヴァイ「…なんだ。要件を言え。そして、さっさと帰れ。俺はまだ眠い」
エルヴィン「…まぁ、そう言うな。何から話したものか、考えている最中でな」
俺から目を逸らしたエルヴィンは、なるほど、確かに疲れた顔をしている。
リヴァイ「…珍しいな、てめえでも迷うのか」
エルヴィン「今回は、異例尽くしだったからな…。第十二部隊は、全滅だった」
リヴァイ「…だろうな。俺が見た限りでも、まともだったのはAだけだ…。あとは、みんな残骸だった」
燭台(しょくだい)が低く灯る部屋に、沈黙が覆い被さる。
絞り出すように、エルヴィンが口を開く。
エルヴィン「これでまたひとつ…Aの起こした奇跡が増えてしまった」
4度目の、奇跡的生還。
既にA・ビビアントの名は、兵団中を駆け巡っている頃だろう。人の口に、戸は立てられない。
そうなると、下界の噂好きたちも、きっと黙ってはいないのだ。
ーーーAも、エレンと同じ『異端者』ではないのかーーー。
エレンの場合は「巨人化」を、「人類の希望」にすり替えることで何とか逃げ切ったが、Aの場合はそうも行かねえ。
なにしろ「自分だけが生還してしまう」力だ。
理由も分からねえ。手順もはっきりしねえ。
その上、自分たちの恩恵には繋がらないーーー。
謎の多すぎる「異常事態」を、果たして幹部共は、権力者共は、民衆はどう判断するのか。
ーーーおそらく、「排除」で一致するだろう。
俺は思う。
ーーーその時、Aはどうなるのか。
ーーー俺は、こいつを護り切れるのか。
目を閉じたAの顔を見る。
今でさえ無力を感じるのに、これから先を庇ってやれる自信なんて、どこにも見当たらなかった。
エルヴィン「まぁ、Aの件については、今後もう少し考えてからでもいい。
ーーーところで、リヴァイ。
ひとつ聞いておきたいことがあるんだが」
俺の顔色を読んで、エルヴィンが話題を変える。
つくづく聡い(さとい)野郎だ、腹立たしいが、今だけは感謝する。
リヴァイ「…なんだ？」
エルヴィン「…今日、どうして勝手に、持ち場を離れた？
前方の部隊が遭遇した巨人は、奇行種とはいえ、そこまで手強くなかった筈だ…。
リヴァイ、何故だ？
何故わざわざ君がーーー、討伐の応援に、駆けつけたんだ？」
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りりこ(プロフ) - かたちなにさん» はじめまして、コメありがとうです！展開がややこしいお話なので、気に入っていただけてこちらも嬉しいです！糧にして、頑張って続き書きますね〜笑 2幕以降もお楽しみいただければ、幸いです！ (2016年10月15日 13時) (
レス) id: f30cb6bd23 (このIDを非表示/違反報告)
かたちなに(プロフ) - 見入ってしまった! 話が深くてとても面白い! 興味本位で読み始めたけどワクワクが止まりません笑 とても素晴らしい作品！！ (2016年10月15日 8時) (レス) id: 750b6b2d88 (このIDを非表示/違反報告)
りりこ(プロフ) - ハルさん» こちらこそ、混乱させてしまって、ごめんなさいね（泣）精進いたします！応援&コメント、本当にありがとうございました！ (2016年3月11日 17時) (レス) id: b097ba1888 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - そうでしたか！細かな説明ありがとうございます！どちらの作品も楽しく読まさせてもらってます！これからも応援してるので頑張ってください (2016年3月11日 15時) (レス) id: 3eef4ca069 (このIDを非表示/違反報告)
りりこ(プロフ) - ハルさん» というイメージです。ある種の「パラレル展開」という傾向ですね。長々と連投、すみません。あちらの作品は、「甘々展開だけが読みたい！」と思われた時にでも、立ち寄っていただければ、幸いです。コメントありがとうございました！ (2016年3月11日 12時) (レス) id: ac8a3e0fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りりこ | 作成日時：2015年7月10日 2時
