#23 秘密の両側 2 ページ23
リヴァイ「だから…」
顔を上げたリヴァイと、ようやく目を合わせることができた。
頬をそっと包まれて、
額がぴたりとくっつけられる。
ーーー私に何かを、言い聞かせたい時。
決まってする、彼の、癖。
一緒に住んでいるから、知っている。
同じ時間をすごしたから、分かる。
知らないことも多いかわりに、私だけが理解できることだって、けして、少なくはないはず。
言葉を選んで、リヴァイは言う。
リヴァイ「…信じてほしい、俺を。無茶かもしれないが…。約束してくれ、他の奴の言葉に、惑わされないって」
A「…うん。分かった」
リヴァイ「…A」
A「…なあに？」
リヴァイ「ずっと、はぐらかして悪かった…」
A「…？」
リヴァイ「…『結婚』」
A「！」
リヴァイ「…不思議だったろ？
朝起きたら鬼の上官が上に乗っかってて、
無理に口塞いで、『選べ』なんて、な…」
ーーー自嘲(じちょう)気味に、リヴァイは笑う。
リヴァイ「安心しろ…
この選択肢を考えたのは…、いや、たとえ強引でも、お前にこちら側を選択させたのは…俺の意思だ。…俺の、エゴでもあるが…。
お前が欲しくてそうした、これだけは…言い切れる」
A「…リヴァイ」
リヴァイ「A。これから先、まだ色んなことが起こる…。
何処で死ぬことになったって、本当に不思議じゃない…。
だから、これだけは覚えていて欲しい。
たとえ、俺がいなくなっても…。お前の隣に、いてやれなくなっても…。
俺は、ちゃんとお前をあいしている」
ーーーあいしている。
二度目の言葉は、息だけの声だった。
私の耳の中に、それが直接流れ込んできて、
鼓膜(こまく)を優しく震わせる。
もう、充分だった。
A「…うんっ…、分かってる…」
それだけ答えるのが精一杯で、
リヴァイと私はそれきり、
お互いに口を開くことを止めた。
ただ、かたく抱きしめあって、
何にも言わないで、雨の音を聞いていた。
リヴァイ「…さみぃ、な…」
不意にリヴァイが囁いて、そして私は、自分がずぶ濡れだったこと、そして私を抱いていたために、リヴァイまでが濡れていることに、そこでようやく気がついた。
静かに抱き上げられて、リヴァイの足は、備え付けの浴室へと向く。
ーーーもう、何が起こっても怖くない。
信じているから、怖くない。
リヴァイの首に手を回して、しがみつく。
とても親密な音を立てて、浴室の扉が閉まった。
#24 attention 作者から お詫びと御礼→←#22 秘密の両側（前回上げた分が気に入らなかったため、書き直しました。展開が大きく変わっています）
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 956人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りりこ(プロフ) - かたちなにさん» はじめまして、コメありがとうです！展開がややこしいお話なので、気に入っていただけてこちらも嬉しいです！糧にして、頑張って続き書きますね〜笑 2幕以降もお楽しみいただければ、幸いです！ (2016年10月15日 13時) (
レス) id: f30cb6bd23 (このIDを非表示/違反報告)
かたちなに(プロフ) - 見入ってしまった! 話が深くてとても面白い! 興味本位で読み始めたけどワクワクが止まりません笑 とても素晴らしい作品！！ (2016年10月15日 8時) (レス) id: 750b6b2d88 (このIDを非表示/違反報告)
りりこ(プロフ) - ハルさん» こちらこそ、混乱させてしまって、ごめんなさいね（泣）精進いたします！応援&コメント、本当にありがとうございました！ (2016年3月11日 17時) (レス) id: b097ba1888 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - そうでしたか！細かな説明ありがとうございます！どちらの作品も楽しく読まさせてもらってます！これからも応援してるので頑張ってください (2016年3月11日 15時) (レス) id: 3eef4ca069 (このIDを非表示/違反報告)
りりこ(プロフ) - ハルさん» というイメージです。ある種の「パラレル展開」という傾向ですね。長々と連投、すみません。あちらの作品は、「甘々展開だけが読みたい！」と思われた時にでも、立ち寄っていただければ、幸いです。コメントありがとうございました！ (2016年3月11日 12時) (レス) id: ac8a3e0fe6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りりこ | 作成日時：2015年7月10日 2時
