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#13 外の人、中の人 3 ページ13

枕元にしゃがみ込んで、
眠るAの顔を覗き込む(のぞきこむ)。

長い睫毛。
透き通るみたいに、白い肌。
半開きの赤い唇だけが、こいつの年齢と端的(たんてき)に結びつく。

手の甲で、涙を拭ってやった。
このまま眠り続けてほしい、と思う一方で、

ーーー目覚めて俺がいたら、どんな顔をするんだろう、

反対のことも考える。

髪を撫でて、
小さな耳に触れて、
ーーー堪らなくなって、許可なしのキスをした。

それが原因だったのか、目を覚ましたAは俺に驚き、
慌てて涙の跡を拭う。

A「…おかえり、なさい」

リヴァイ「…ただいま。一緒に寝るぞ、こんな所にいたら、風邪ひいちまう」

返答を聞かないまま、Aを抱き上げ歩き出す。

…軽い。結婚した日に抱えて以来だが、随分と頼りない体重だ。

思わず、ぎゅっと抱きしめる。

Aの吐くあたたかい呼吸が、剥き出しの襟元にやわらかに広がった。

A「…兵長?」

リヴァイ「…この家で『兵長』は無しだ…。
名前で呼べ。構わない」

背中で寝室の扉を開ける。

殺風景な部屋。
作り付けのダブルベッドは広くて、Aがこれを一人で使う気持ちを考えてやれていなかったこと、
俺はひとり、後悔する。

ベッドに、Aの身体を丁寧に横たえた。

続いて自分ももぐりこんで、冷たいシーツの中を抱き寄せた。

ーーーはじめて、夫婦らしいことをしたと思う。

腕の中で、Aは震えていた。
その背中を撫でてあやして、
目が合うたび、何にも言わないでキスをした。

髪に、目元に、頰に、額に。
あんなに優しい触れ方をしたのは、後にも先にも、あれがはじめてだった。

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りりこ(プロフ) - かたちなにさん» はじめまして、コメありがとうです!展開がややこしいお話なので、気に入っていただけてこちらも嬉しいです!糧にして、頑張って続き書きますね〜笑 2幕以降もお楽しみいただければ、幸いです! (2016年10月15日 13時) (レス) id: f30cb6bd23 (このIDを非表示/違反報告)
かたちなに(プロフ) - 見入ってしまった! 話が深くてとても面白い! 興味本位で読み始めたけどワクワクが止まりません笑 とても素晴らしい作品!! (2016年10月15日 8時) (レス) id: 750b6b2d88 (このIDを非表示/違反報告)
りりこ(プロフ) - ハルさん» こちらこそ、混乱させてしまって、ごめんなさいね(泣)精進いたします!応援&コメント、本当にありがとうございました! (2016年3月11日 17時) (レス) id: b097ba1888 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - そうでしたか!細かな説明ありがとうございます!どちらの作品も楽しく読まさせてもらってます!これからも応援してるので頑張ってください (2016年3月11日 15時) (レス) id: 3eef4ca069 (このIDを非表示/違反報告)
りりこ(プロフ) - ハルさん» というイメージです。ある種の「パラレル展開」という傾向ですね。長々と連投、すみません。あちらの作品は、「甘々展開だけが読みたい!」と思われた時にでも、立ち寄っていただければ、幸いです。コメントありがとうございました! (2016年3月11日 12時) (レス) id: ac8a3e0fe6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りりこ | 作成日時:2015年7月10日 2時

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