夢見る背中*3

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ニヤニヤと悪い笑顔を見せたまま、一枚、もう一枚と自分の前に掲げ
「ええ写真」と満足気に見つめている。








「頭おかしなったん？」





豊川「オレ？ちゃうやん。Aが頭沸いたんやろ？」






「は………？」






豊川「だって、これ。シュレックのとこの兄ちゃんやろ？
それとデート？それも有名になったから？
お前そんな奴やっけ？

お前とこの兄ちゃん…。
お前は一般人でも二人にストーリー性もあるから良い値で売れる思うねん」






「なにそれ……？
こっちの話も聞かんとストーリー性？
何もあらへん。それだけや。価値は0円」









ニンマリする“としくん”。
こんなに人の事を考えられへん人やったかな？









豊川「世間はそう取らへん」







「何……？私の事晒したいの？」




豊川「違う」





「じゃあ何！？」









ニヤニヤとしてた顔を引き締め
彼が放った言葉は、私の想像の真裏を走る。









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豊川「戻ってこいよ。俺のとこに」







「…………………は？」





豊川「LDHのアーティストの裏の顔撮ったろ思ってここ張ってたら
ある日Aが現れてな。
まさかな？って思ったけど。

シュレックのとこで俺の事脅してきた兄ちゃんの元で働いてるって事やん。
ありえへん、取り返したろ思ってな？


タイミング見てたら二人で出掛けるし？お前ん家帰るし？
付き合ってるんやろ？


別れて、俺んとこ戻ってこいよ。な？」









……………ありえへん。
訳、分からへん。








「……山下さんと付き合ってないです。」







豊川「ふぅーん。それで？」







「豊川さんの要望も、受けられません」








豊川「じゃあ、この写真ばら撒いていいってこと？」






「駄目！健にぃが！！！」








H「失礼します」









ノックも無しに現れたのは、HIROさん。




そして後ろに……怒りを露わにした、深山さん。









深「Aちゃん、キッチンに戻りなさい」







「…………でも、」








深「いずみが呼んでる。戻りなさい」









有無を言わさずこの場から去るよう、伝えられた。









キッチンに戻れば、いずみさんの姿は無く、変わりにいたのは、









「………何で、臣さん？」







臣「健ちゃんを守ろうとしてくれたお前の救世主(ヒーロー)だから。」







臣さんの顔が優しく緩んだ。

腕を引っ張られ、一瞬にして臣さんの腕の中にいた。

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