夢見る背中*3

---124 ページ37

.



準社員となって早一週間…。

もう一度社長室に呼ばれる。
何やろ？不備でもあったかな…？




社長室の扉をノックして入れば、そこに居たのはHIROさんだけでなく健にぃの姿まで。


ど、どないしたん………？






H「…まぁ、座ろうか」




「あ、はい。」





皆目検討もつかない。
健にぃの隣に腰掛けた。
健にぃも何で呼ばれてんのか分かってない感じで。









H「これ、見てくれる？」







そう言って、A4サイズの茶封筒から出てきたのは写真が沢山。








「………なに、これ」



健「これ、いつ……？」









そこにあった写真は、私と健にぃが戯れながら歩いてる写真ばかり。
私の住むマンションへ二人で入って行く写真まで収められていた。







H「俺が見た限り、健二郎とAちゃんだと思ったから呼んだんだけど…
これが二人共自分なのか、もう一度確認して。

二人が幼馴染みなのは聞いてるけど、どういう状況？」






優しく諭すように話しかけるHIROさん。
隣の健にぃはこの状況にあまりにも吃驚してる。
それと同時に社長から問われる重圧で緊張して固まってる。







「……これ、私のバイト先に来てくれた日です。
バイト終わりに大事な話しながら飲んで、酔っ払った山下さんを一人で帰せないので
自宅が近いので、連れて帰って泊めました。


けど、一切何もしてないです。

あ、朝ご飯は食べさせました」





健「そうっすね……え？朝ご飯の件いる？」





「朝ご飯以外、なんもない。」




健「何か……言い方ぁ」






H「二人が仲が良いのはよく分かった」









そう言って、写真を退け最後に一枚、名刺を出してきた。







H「きっとこれを撮ったカメラマン。
ご丁寧に名刺まで入れてくれてた。
これから話をするつもりなんだけど、詳しく二人の事把握させて」








「………HIROさん、彼とは私が話をします」





H「え？」









見覚えがありすぎる名前が、名刺には書かれていた……。









.









.









「この人、多分私の元カレです」







健にぃが豆鉄砲喰らった顔をして、こっちを見た







“フリーカメラマン” “豊川 俊英”
そう書かれた名刺をまじまじと見る。




好きだった写真を、彼はこんな使い方をして稼ぐようになってしまったのか








.

---125→←---123

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す