僕と私の契約恋愛

30 ページ31

.




副社長の就任式──。


2日しか経っていないのに、疲労が溜まる。
副社長に至っては、ニューヨーク帰りに時差を気にせず働いていれば遊んで…。

寝不足で式典に出席なんて出来やしない。
私と副社長は少し早めに退社することになった。






人「お疲れ様。健二郎に送らせよっか？」




「大丈夫です！一人で帰れます！」



人「送ってあげたいのにぃ…」




岩「直人さんざぁんねーん！」



今日はすぐに膨れちゃう直人さん。
その横で笑ってる子犬男子。

二人にお疲れ様ですと声を掛け、背を向けて歩いて行った。







今日は早く帰って、ゆっくり湯船に浸かって、パックして、ちょっと溜めた洗濯も干して…
時事ニュースもチェックしないとなぁ。

社長をしてるおじ様は色んな情報をチェックしてる方が多い。
無知な子よりも、一緒に話せる方が嬉しそう。









やらなければいけない事を詰め込んで、今日は早めに布団へと入った。
ベッドで待っていてくれる雪だるまのぬいぐるみを抱きしめて
今日はしっかり眠るんだ。









.









.









次の朝、少しだけ早起きをして化粧とヘアメイクをいつもより丁寧に整えた。

主役は直人さん。
だけど私は数歩後ろで構えて居なければならない。
少しでも視界に入るのだから、見劣りしてちゃ駄目。

律子さんのような第一秘書になれなくても、近づくことは出来るはず。









人「却下」





「…直人さん、朝はおはようですよ？」





人「何でりっちゃんみたいな服装してんの？」




「どうですか？デキる女に見えますか？」




人「俺そんなAきらーい。」








朝イチ、私の努力を
却下の一言で潰した。




直人さんは携帯を取り出して何処かに掛け始める。
今すぐ来てと呼ばれて飛んで来たのは、臣だった。


カラカラとハンガーラック数台、後ろに服を引き連れて。






臣「なに、Aそんなタイトな服装も出来んの？」




「今日だけ特別ですぅ」





臣「ふぅーん。ま、いいや。」








直人さんも臣の持ってきた服の中から楽しそうに選んでいた。






人「おみー、これ引き取りね？」




「はいはい。
ねー、直人さんどんな感じがいいのー？」





人「背伸びしてないやつー！！」






指で枠を作って私に合わせる臣は、“うーん”と唸りながら
何本かワンピースを取り出した。








臣「俺が化粧も直してやるよ」




「え、やだ………」








.

31→←29

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す