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｢王様、抑制剤もらっていい？｣
金木研｢......はい。あげたので寝てください。｣
｢えー！ちょっと冷たくない？｣
金木研｢僕もあなたも、体に無理が生じている。一つでも選択を間違えたら死ぬぐらいには。あなたにも死んでほしくないから、寝てほしいんです。喰種の子供たちのこと、お願いします。｣
｢はーい。......子供ねぇ。｣
注射を終え、いつものように懲りずに23番のタバコを吸って、自室で少しだけお菓子を食べて......
｢(相手にされない。みんな......人間が怖いよな。知ってる。地上があんな感じだから。)｣
また吸って、何本も吸って、飽きずに吸って、誰かに名前を呼ばれるまで吸い続ける。皿には吸殻が積もりに積もって、不健康な私の体をそのまま示している。それから今の私の、縁も。
｢電話が繋がらないって、こんなに辛いことなんだ......もう一度話したい。｣
松前｢A、今日だけで吸いすぎです。たまには控えなさい。｣
｢じゃあこの一本で最後。たまには七十は吸いたかったけど、今日はその手前でストップかぁ。｣
松前｢チェーンスモーカー......あの喫茶店で再会したときより増えましたね。体に障りますよ。｣
真っ黒な塵だ。未来は真っ暗、そんな私に投げ掛けられる言葉は｢苦しいのは今だけ｣。今だけ......
昔から苦しい。幸せなはずなのに、こんなにも何かを求めている。
｢はぁ......少し寝るか。そういえば、明後日には大規模遠征があるって？｣
松前｢はい。私はこの地下の守りを任されました。その前に王と董香さまの喰種式結婚式があるようで。｣
｢いいなー。私は人間式がいい。いつになってもいい、ドレスを着て自由に式場を駆け回るの。鐘の音を聞きながらね。｣
松前｢......必ず叶います。｣
｢ありがと。やっぱりもう一本いい？ジャスト七十本。｣
松前｢ダメです。箱は来週まで没収ですよ、A。｣
｢ちえっ...｣
その何かは、喰種からの信頼か。
｢そういえば最近、お菓子も変な味がするんだよね。こう......粘土みたいな感じ？粘土の味知らんけど。試しに人の肉を食わせてよ。｣
松前｢あ......は、い。分かりました。｣
｢無理させてごめんね。｣
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作者名：琲世 | 作成日時：2022年12月15日 13時
