別視点 ページ2
いつか見た青年に文を送ると、すぐに足を私に向けた。
武田には目もくれず。
それなりにもてなされていた筈だ。だがあの青年は何の迷いもなく私を選んだ。
宝を手中に収めた時より、愉悦が大きい。
風魔を使いにやると、まるで来ることを予期していたかのように待っていたという。
やはり、並外れた何かを持つ男のようだ。
風魔をいつの間にか懐柔し、気付けば三好も絆されているではないか。
「いやはや、愉快愉快。まさか三好まで手懐けるとは」
『久秀』
ああ、そうだ。そのぬばたまの瞳に私を映せ。深淵より深いものを知り得ぬ私に、その奥を見せてくれたまえ。
「中に入るといい。全て揃えてある」
『全て、か』
「あぁ。卿が望めば差し上げよう……尤も、卿には要らぬ物ばかりだろうな」
そうだ。青年…Aは、私が集めた物など、いくらでも見てきただろう。むしろ、私の物の上をいく品を使ってきたに違いない。
『…いや。貰うばかりでは申し訳ない』
「そうか。私が卿に何か与えた覚えはないが」
『俺と話している…それだけで、十分だ』
……無欲な青年だ。果たして、どうやってここまで無欲になれようか。
微かな喜色を顔に乗せ、Aは私の手を取る。風魔も三好もその姿は既にない。
やわやわと、握ってやった。
『久秀…』
「……卿のような整った顔を持つ者と友になるのも」
悪くはない。
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佐渡の音(プロフ) - 和美さん» コメント、ありがとうございます。すぐに通知が来て確認したら、投稿したての頃から応援いただいている方だと気付きました。長らくお待たせしました、これからもよろしくお願いします(返信遅れました💦) (2022年8月3日 19時) (
レス) id: e24c88a25e (このIDを非表示/違反報告)
和美(プロフ) - 更新ありがとうございます...！とても嬉しいです！ (2022年8月3日 12時) (レス) @page10 id: 7b66cd4388 (このIDを非表示/違反報告)
小説ワンコ(プロフ) - とても面白いです！更新待ってます！ (2019年6月9日 14時) (レス) id: 14f0588910 (このIDを非表示/違反報告)
和美(プロフ) - とても貴方の書く小説が好きです！更新楽しみに待っています。 (2018年7月28日 19時) (レス) id: d5d342c2be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐渡の音 | 作成日時：2018年1月14日 9時
