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阿部side.
言いたいことは、たくさんある。
まず、後輩と距離近くない？あの距離で。微笑みあっちゃって。そら反感買いますわ。いつ見ても誰かに話しかけられてて、あれじゃ、仕事も進まないはずだ。ま、あの場から離れたら、集中して仕事できるでしょ。ちょっと強引すぎたかなと思いつつ頭半分で仕事してたら、いつのまにか目の前にAさんが戻ってきていた。
時折、「ふぅ」「んーっと」「あれ？」「あ。」「ま、いっか。」などなど小さい声で呟いてる。本人無自覚ぽい。声のするたびに、様子を伺うんだけど、集中してるのか全く気づかれない。この感じだと、お疲れ様会は、また今度かな。と思っていると。
「…楽しみにしてたんだけどな。」
ぽそっと声が聞こえた。びっくりして顔を上げるが、本人やはり無自覚なのか、パソコンに向かったままだった。が、ワンテンポ遅れて急に顔が上がり、目があう。わざと口にしたわけではないっぽい。
阿部「あ。やっと気づいた。ね、いつもそうなの？」
他の男性社員の前でも、そんな感じなわけ？俺もあざといだなんだ言われるけど、目の前のあなたも同罪な気がしている。
阿部「…いや、無自覚？結構独り言、言ってたけど。」
「うそ、、なんて…？」
阿部「んー？」
楽しみにしてくれていたなんて、正直嬉しい。そうニヤニヤしながら自身のパソコンに視線を落とした。
「変なこと言ってました？」
阿部「ん、いや。ふふっ。表情がコロコロ変わって面白かった。あ、今悩んでるんだろうなーとか。あ、解決したっぽいなーとか。あ、あきらめた、とか。」
素直なんだろうなと思う。
「そ、そうですか。」
阿部「じゃあ、そろそろ出ますか？ミーティングしてますアピールも十分だろうし。」
「へ？」
阿部「あれ？お疲れ様会。楽しみだったんじゃないの？」
「へ？あ。うん？？」
よく聞こえなかったのか、聞き返してくる。
阿部「いや、何でもない。よし。じゃあ行こうか。」
そう言って、一緒に退社する。
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作者名：紫 | 作成日時：2023年8月4日 2時
