あまい.2 ページ47
.
阿部さんに返信するべきか、どうしようか迷っていると『ピンポーン』とこんな早朝からインターホンが鳴った。
え。なに…？
こんな時間に来客？いや宅配？恐る恐るインターホンみると、なぜか阿部さんが立っていた。
ぴっとボタンを押して、「え、阿部さん…？」
阿部『あ。起きてた。ごめん。ずっと未読だったから、心配で来ちゃった。』
そのまま外で待たせるわけにもいかず、玄関を開ける。
「えっと、、おはようございます。…入りますか？」
阿部「ん、おはよ。いいの？」
「たぶん、はい。 大丈夫です。」
阿部「たぶん？笑 じゃあ、お邪魔します。」
リビングに通して、ソファに座ってもらう。
「あの、」
阿部「朝早くからごめんね。たまたま早く目覚めたんだけど、それでも未読のままだったから。倒れたりしていないか心配で来ちゃった。でも、顔色もいいし、その感じだと大丈夫そうだね、安心した。」
そう言って頬に手を添えられる。
「き、昨日からずっと寝ちゃってて、さっき起きたんです」
そんな優しい眼差しを向けられると、無駄にドキドキするので、やめていただけませんか…？
阿部「そっか。よく寝れた？変な夢見なかった？」
「だいじょぶでした、」
…なんか、さっきから
阿部「ん、なら良かった。」
頬をひと撫ですると、優しく微笑んだ。
…ずっと、甘い。
阿部「じゃあ、無事も確認できたし。帰ろっかな。」
ぇ？
阿部「今日、もう1日ゆっくり休んでね。」
もう帰るという阿部さんにひとり焦って、玄関まで進む背中を追いかけると急に振り返ってきて、避けることもできず、その胸に思いっきりダイブした。
「んわっ」
阿部「わあ、ごめん。大丈夫だった？笑
じゃあ、また明日ね。何かあったらいつでも連絡してね、待ってるから。だいすきだよ、」
私を胸の中に閉じ込めたまま、突然の告白に顔を真っ赤にして戸惑ってる私をおもしろそうに笑って、離れていった。絶対わざと振り返った、このひと。
阿部「じゃあ、お邪魔しました。」
そう言い残して、パタンと閉じた扉。
え、なに、まぼろし？
あんなに、あまかったっけ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 351人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫 | 作成日時：2023年8月4日 2時
