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課長「Aさん、いいかな?」


よしっと気合いを入れ直したところで、少し離れたところから声がかかる。

 うーわっ、このタイミング…

「はい、なんでしょうか。」

重たい腰を上げて、課長の元へと向かう。

課長「ごめん、今手空いてたりする?もしできたらこれやって欲しいんだけど。」

そう言って見せられたのは、これまた面倒くさそうなやつ。…後輩と話していたけれど、暇ではない。

「えっと、、締め切りはいつですか?」

課長「一応、明日の夕方までなんだが、午前中までにできていると助かる。残業代と明日の休日出勤分も給料つけるからさ。どうにかお願いできないかな?」

そう言って、押し付けられそうになる。

「…すいません。今日は、帰らなければいけない用事がありまして。」

課長「…いつも残ってるのに。めっずらし。あれか。彼氏とデートか?」
いいねえ、そうかそうか、仕事よりもデートねえ。

「えっ、いや。」

バカでっかい声で彼氏がなんだ、仕事優先だろとグチグチ嫌味を言われ、「え。彼氏?」という周りの視線は痛いし、これは残るしかないか、、いやでも。約束したしな。と、どう返答していいものか迷っていると、

阿部「課長。それ以上いうと、ハラスメントで訴えられますよ?それに、Aさんは、この後新企画について僕とミーティングをする予定です。なので時間が取れず、間に合いそうにありません。申し訳ありませんが、その仕事はAさん、と僕も。お断り致します。」

いつの間にか横に来ていた阿部さんが、助け舟を出してくれた。のだが、爽やかな笑顔を貼り付けてそう言い放った阿部さんの目は、笑っていない。

あまりの圧の強さに、課長はおとなしくなった。

課長「そ、そうか。悪かったな。」

阿部「では、失礼します。」

と立ち去るので、私も慌てて一礼して自分の席に戻る。
着席して顔を上げると、阿部さんから120点の笑顔いただきました。そんな笑顔で、、周りの方々がその笑顔に撃ち抜かれてます。


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作者名: | 作成日時:2023年8月4日 2時

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