愛を問う(R.Abe) (ページ36)

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あなたside.

　服を握りしめたまま、ベットに座る。こんな夢を見たのは久しぶり。よくよく考えて思い出すと、悪夢を見るきっかけが今日はたくさんあった。今日をきっかけに、また毎日のように悪夢見るようになるのかな。何もできなくなる毎日に逆戻りになっちゃうのかな。

　久しぶりの感覚に少し放心状態になっている。
　そこへじわじわと暗い考えが頭の中を支配していく。

　さっきの悪夢で若干薄れていたきていた嫌な記憶が、痛みや苦しみまでより鮮明に蘇ってきた。何もできない傍観者として多くの同僚のいじめに加担していて。人を疑うことをしなくて、騙されたり、無理矢理だったり、善悪の判断もつかないまま、自分の意思ではどうにもできないまま、望まない関係を数えきれないほどたくさん持った。

　そうだった。わたしは判断を間違う。
　自分の意思で行動してはいけないんだった。

　こんな汚れた私なんかじゃなくて、阿部さんには、もっと純粋で素敵な相手がいる。その相手が私だったらいいな、なんて、浅はかすぎた。できれば一緒に居たいなって思ったし、救い出してくれるような気がしていた。けど、そんなの夢のまた夢で、高望みしすぎていたんだ。

　いつまでもここに居られない。一刻も早くここを出よう。それがいい。次に繋がらないように。これ以上何かが起こる前に。さよならしよう。言い聞かせるように思えば思うほど、胸が苦しくなるけど、気づかないふりをした。大丈夫、自分を誤魔化すのには慣れてる。

貸してもらったカーディガンと服はそのままベッドに置き部屋を出る。

「自分に正直にね。」なんて友人からの言葉は、とっくに記憶からなくなっていた。

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