愛を問う(R.Abe) (ページ35)

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あなたside.

聞こえた声に導かれるように目を開けると、人の顔が近くに。

阿部「Aさん、大丈夫！？」

「ﾋｨｯ…、、ぁ、」

　夢なのか、現実なのか、目の前の人物から身を引いて逃げようとした時に、阿部さんだと気づいた。逃げようとしてやめたから、変な微妙な距離が。

阿部「ごめん…うなされてたから。」

「まだ。夢かと、思って、ごめんなさッ…」

　急に手が伸びてきて無意識にビクッと体が強張る。恐る恐る手を取られ、優しい力で、大切な壊れものを触るように、そっと手を握られる。

阿部「もう大丈夫。」

　そう言った阿部さんはとんでもなく優しくて、キュッと握られる手の温もりは、今日確かに感じた温かさで、少し安心した。何も言わず、ただ寄り添ってくれて、手の震えもおさまってきた。ちょっと冷静に落ち着いた気がする。

阿部「落ち着いた？リビング行こっか。温かい飲み物用意してくるね。」

そう言って、阿部さんはゆっくりと離れていった。

阿部「あ。あとこれ。」

「…？」

急に差し出された服。よくわからず受け取ると、

阿部「スーツのままじゃ苦しいでしょ？ごめんね、もっと早く貸せばよかったんだけど。俺のだから大きいかもだけど。よかったら着替えて、おいで。」

そう言って閉じた扉。見渡して目に入った時計は、深夜12時を指していた。

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