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阿部side.
寝かせたまま、しばらく時間が過ぎていた。ちらちらとベッドで横になる様子を見ているけど、なんとか大丈夫そう。
腕のあざ、残らないといいんだけど。あざだけで、あんなに怯える?服だって、近づいただけであんなにガチガチになるか?
何があったの。
あの男に他にも何かされた?
それとも別の記憶?
そんな軽い体に、何を抱えているの。
…1人で抱えられるものなの?
友達さんから何かあるとは聞いているけど、思ったよりも大きなものを抱えているのかもしれない。それを自分も他人も気づかないように、うまくうまく誤魔化して隠して、ここまできたのかな。良くも悪くも自分を誤魔化すのが癖になっていて、いろんな変化にも気付かず無理してしまって。笑顔の裏はきっとボロボロで泣いているような。
なんて、勝手な想像をする。でも、だから、あそこまで友達も心配するのだろう。何がそうさせているんだろう。何も知らないけど、少しでも力になれたらな。
ゴソッ
布団のズレる音がして、気が付いたかなってベッドまで見に行く。起きたわけではなかった。でも、なんだか苦しそうな顔をしている気がする。
阿部「…?どうした?」
優しく声をかけて頭を撫でると、少し表情が和らいだ気がした。
阿部「、フフッ」
こんな状況じゃなかったら、素直に可愛いとだけ思えるのに。まだ気がつきそうにないし、リビングへ戻ろうと背を向けた瞬間だった。
「「…ぃッ、やめ。………ぃや、、んぅ」」
急にうなされ始めた。
阿部「Aさん!?どうした!?」
急いで抱き起こして、体を揺さぶる。
阿部「Aさん!Aさん!?」
何回か呼びかけると、うっすらと目が開いた。
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作者名:紫 | 作成日時:2023年8月4日 2時