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俯いたまま拳を強く握りしめて、絞り出すように話し出す。
「、、楽し、かったはずの、
場所も。…ハア、時間も。フッ…会話も。
全部、こッ、こわいものに、なってて、変わって、」
阿部「こわいもの…?」
「ん、でも、ほん、とは違。う、のに、ッ。」
阿部「ちが…?」
「……ヒッ
、なんっか、くる、しぃ。…ハアハァ」
阿部「…あぶなぃッ!!!」
やばい!過呼吸!!と思った時には体勢が崩れて、俺の方に倒れてきていて、慌てて抱き止める。
阿部「Aさん!??」
「ハアハア、ハァ、ハア…」
俺の腕の中で浅い呼吸を繰り返し、拳を強く握ったまま、何かに耐えるよう縮こまる。
阿部「Aさん!ね、こっち向いて?
Aさん!わかる!?Aさん!!」
「ハア、ハァ、、?ハァハア」
声をかけ続け、なんとか開いたその目をとらえたまま声をかける。
阿部「Aさん?俺の顔見て。
こっち。俺の目見て?
一緒に息しよ。ゆっくり。ね?
いくよ?吸って〜吐いて〜」
俺の掛け声と共に、ゆっくり深呼吸をしていく。
途中詰まりながらも、だんだんと呼吸も落ち着いてきたところで、ふっと意識を飛ばし、俺にもたれかかってきた。
阿部「おっと…」
呼吸はなんとか安定しているけど、顔を見るとまだちょっと苦しそうで、このままソファも辛いだろうと思い、ベッドへと運ぶことにした。
阿部「かるっ」
ちゃんと食べてるのか?
ひょいっと持ち上げ寝室まで行く。リビングから見える位置だし、起きたらすぐに駆けつけれるだろう。
阿部「大丈夫だからね」
そう言って頭をひと撫でした。
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作者名:紫 | 作成日時:2023年8月4日 2時