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流石に見かねて声かける。
「向井くん、大丈夫？」
向井「あ！先輩！何が何だかさっぱりで…。B社の案件なんですけど、数値がさっぱり合わないんですよお。」
半泣き状態な向井くん。
「んん？？ほんとだねえ…、、あ。」
ただ、決定的。というか致命的なミスを見つけてしまった。
「向井くん、今B社の案件やってるんだよね？」
向井「はい、そうですぅ。」
「じゃあその左手に持ってるのは、どこの？」
向井「？？？あ！！！C社！！！！」
パァっと顔が明るくなる。
「まったく、、いい？情報漏洩に繋がりかねない。資料は整理して保管する。デスクには作業中の会社以外の他社のものは置かない。
最初に教えてもらったよね？できる？」
向井「はい、、以後気をつけます。」
ミスの原因を見つけて喜んだのも束の間、叱られシュンとしだす。
「あとわからない時はすぐに聞くこと。ん？って思った時点で聞いてくれていいから。わかった？」
向井「はい、」
「よし。じゃあ、頑張って。週明けまた進み具合見にくるからね。」
向井「ありがとうございます！！」
にぱっと笑い、やるぞおぉとエンジン全開な様子。何とも可愛がりたくなる愛嬌の良さに、これまた周りも笑顔になる。
うん。
…こちらも退散した方が良さそう。
そんなに羨ましそうにするなら、
助けてあげりゃいいのに。
「ふぅ。」
席に戻ってひとつため息。後輩指導も仕事のうち。わかってはいるけど、自分の仕事との両立はなかなか厳しいものがある。
気づけば定時まであと１時間。ここまでできたらいいな。と思っていたところの半分もできていなかった。
…目指せ定時退社。
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作者名：紫 | 作成日時：2023年8月4日 2時
