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あなたside.
信じて、大丈夫。だよね？
繋がれたままの手をそのままに、タクシーの窓から流れ行く景色を見る。この状況。素敵な男性に家に誘われ、了承してついていく。それがどういうことなのか、それがわからないほどバカじゃない。きっと何かを期待してドキドキするものなのだろうけど。いや、してるはしてるんだけど。正直恐怖心が勝っていた。
なんとなく感じる好意にも気づいている。この人なら、この恐怖心取ってくれそうな。そんな気がしていた。
それは、単純に楽しかったから。わたしだって、まだ、さよならしたくない。深入りしない。次はない。繋げちゃいけない。とそう思うのに。まだ、もう少し一緒にいたいって、矛盾したことを思っていた。
でも、そんな本音も、腕を掴まれた時に久しぶりに感じた男性の暴力的な強い力と、いざ男性と2人きりになるっということに、過去とはまるで状況は違うのに、恐怖心がどんどん大きくなって隠していく。吹っ切れたとか言ってたけど、全然だ。
キュッ
急に繋がれた手を強く握られる。驚いて窓から阿部さんに視線を向けると、ちょっと困ったような顔してた。
握り返そうとして気づいた。
「ぁ、、」
…わたし手震えてる。
____________
阿部side.
タクシーに乗り込み、行き先を告げる。Aさんは、窓の外の景色を見ていて、何を考えているのかよくわからない。
理由はわからないけど、繋いでる手がわずかに震えている。大丈夫だよとキュッと握ると、驚いた顔でこっちを見るAさん。
急に家に誘って大丈夫だったかな。がっついているみたいで、ひかれてないかな。今に限ったことではなく、さっきからなんとなく壁がある気がしていて、本当は一緒にいるの、嫌なんじゃないかと心配になる。
阿部「大丈夫、？…もう着くけど、」
嫌なら、行き先変えるよ？
断るなら、今だよ？
そんなことを言ってしまったら、本当に帰ってしまいそうで、続きは言えなかった。
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作者名：紫 | 作成日時：2023年8月4日 2時
