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阿部side.
舘「お客様、どうかされましたか?」
対峙する2人の間に、舘さんがサッと割り込み、男の相手をする。俺は反対にAさんの元へ向きと声をかける。
阿部「大丈夫?」
「うん、私はだいじょぶ。」
俺の顔を見ると、ホッとした表情をする。
男「あいつが俺の誘いを断るのが悪い!!!」
Aさんを指さし、聞き取れないほどの大声で喚いている男の視界にAさんが入らないよう、背中に庇うように立つ。
舘「これ以上騒ぐな警察呼びますよ?」
さすが冷静な舘さん。
男「チッ。」舌打ちして部屋どころか、店まで出て行こうとする彼の前に立ち塞がり、「お会計を。」とまたもや冷静に対応。
男「くそっ。」そう言って乱暴にお金を置き店を出て行った。
「お騒がせして、申し訳ありません。」
何故か謝るAさん。
舘「Aさんは、何も悪くないんで、大丈夫ですよ。」
お互いにペコペコし合っているのを横目で見ながら、帰るように2人分の荷物を持ち、外にさっきの男がいないかチェックする。
阿部「ごめん、だてさん。もうちょっとゆっくりしようと思ったんだけど。騒がしくしちゃったし、もう帰るね。ごちそうさまでした。」
舘「うん、大丈夫。また。」
「あ、あの。お会計は?」
そう言って、コチラを振り向くAさん。
阿部「ん?それはもう終わってる。」
「え?」
お会計が済んでいることに混乱した彼女の手を取り、店を後にする。
阿部「さっきのアイツが近くにいるといけないから、少し早歩きね。」
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作者名:紫 | 作成日時:2023年8月4日 2時