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店長さんが去った後、訴えかけるような、キュルキュルの目でコチラを見てくる。
「…じゃあ、阿部、くん？」
阿部「うん。あと固い敬語はなし。言ったよね、タメみたいなものだって…」
それはまたニコッと嬉しそうな笑顔で。
「っ、、うん。」
これ慣れるまで時間かかりそうだ。
阿部「よし。一歩前進。」
そう言ってニコニコご飯を食べ出した。そっか年下なのか。そう思うと何だか可愛さ倍増な気もする。
しばらく仕事の話で盛り上がると、前職の話を振られた。
阿部「そうだ。前の会社なんで辞めちゃったの？こんなに優秀ならきっと辞めるのも惜しまれたんじゃない？」
「いや、優秀ではないんですけど、、まあ、ちょっと色々あって。心が疲れちゃって。」何となく濁して伝える。
阿部「ごめん、聞いちゃまずかったかな。」
「んー。大丈夫。最近は思い出すこともなくて、知らない間に吹っ切れたかな。」
なんて笑ってみせるけど、うまく笑えた気はしない。見透かすようにコチラを見てくるから、思わず視線を逸らした。
阿部「そう言うなら深く聞かないけど、辛くなったらすぐ教えてね。俺でよかったら、話聞くから。」
「うん、ありがとう。」
なんとなく、気まずくて視線を下に落とす。
阿部「…ちょっとお手洗い行ってくるね。」
「あ、はい。行ってらっしゃい。」
そう言って見送る背中は大きくて、かっこよくて。仕事もできて、気遣いもできて優しい。きっと阿部さんの彼女になる人は、幸せだろうなって思って見送った。
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作者名：紫 | 作成日時：2023年8月4日 2時
