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あなたside.
まだ明るいうちに一緒に退社するのも何だか新鮮で。その予定は無くなったと思っていたものだから、どこのお店にしようかなんて、全く考えてなくて。オフィス街から繁華街の方へと抜ける信号待ちの間に聞いてみる。
「あの、お店どうしますか?」
阿部「ん?もう予約してるよ。」
「え、いつの間に。」
阿部「さっきね。」
「どんなお店ですか?」
阿部「それはね、内緒。」
まあた、そんな笑顔向けて。その辺の女の子たち振り返ってますよ。楽しみだなーとか思いながら顔を上げて繁華街を進んでいくと、案の定声をかけられる。
「カットモデル探してまして…『予定あるんで』
「お店決まってますか…『大丈夫です。』
「あのこの後ご予定は…『間に合ってます』
いつもならひとり何とか交わして歩いていくのに、今回は全て阿部さんがかわしてくれる。
阿部「ね、話しかけられすぎじゃない?苦笑」
さすがの多さに困惑し始める阿部さん。
「話しかけやすいのか、いつものことで。すいません」
美容院行った翌日に3人連続でカットモデルの声掛けされた時は、そんなに髪質やばいのかと落ち込んだ。退勤途中の駅で、でもこの後俺と遊ばない?とか言われたこともある。友人が知らない人の車に押し込まれそうになったという話を聞いた直後で、正直かなり怖かった。それからイヤホンしたり、ちょっと視線を下げて歩いたり自衛をしていたが、阿部さんが横にいるのにそんなことできるはずなく、、まあこの結果である。
阿部「え、いつも?」
いつもとは?と言いたげな表情を向けられた隣から、また声がかかる。
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作者名:紫 | 作成日時:2023年8月4日 2時