信じたい16 ページ6
阿部side.
パタっと小さな音がして見てみれば、くまをぎゅっとしていたAさんの腕がだらんと落ちていて。覗き込めば、寝落ちしていた。
阿部「ぁ、寝てる。」
向井「スッキリしたとか言うてたけど、ほんまは怖いんやろな。顔に思いっきり、『不安』って書いてた。」
目黒「俺らいたらゆっくりできないか、…僕帰ります。」
向井「んじゃ、俺も帰ろー。」
阿部「ん。ごめん、ほんと、ありがとね？また明日。」
目黒「いえ、じゃあまた明日。お疲れ様です。何かあったらいつでも来るんで。また言ってください。」
向井「おじゃましました。お疲れ様です。Aさんにもよろしゅう言うといてください。」
阿部「わかった。本当にありがとう。」
2人をお見送りし、リビングへ戻る。
「ふふっ」
ソファを見れば、くまに埋もれて…というか、襲われて…？いる状態のAさんを見て、笑ってしまった。上から覆い被さってるくま🧸をどけてあげれば、穏やかそうな寝顔。
安心して、眠れてたらいいな。
気づいてたよ？
眠りにつく前不安そうな顔していたのも
寝てる時苦しそうな顔をしていたのも
おはようと言った声が震えていたのも
敬語に戻ってしまっているのも
どうして、こう、
Aさんなのかな
責任感の強さから
ただ、心から心配して
なんとかしなければ
という思いから
遅くまで仕事を手伝っただけ
ただそれだけなのに
なんでかな
誰にでもいつでも
優しく接しているのは
敵を作らないように
当たり障りなく
生きていくための術で
全部無意識に
心を守るために
していること
決して誰かを満たす
ためではない
そんな事もわからない
上辺だけしか見ていない
その辺の人たちに
大切な人の大切な心を
壊されるわけにはいかない
.
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作者名：紫 | 作成日時：2023年12月30日 11時
