過去の代償.14 ページ48
阿部side.
会議室から2人が出て行き、Aさんとふたりきり。あれから、一言も発さないまま、何かを考えるように床のどこでもない。一点を見つめていた。
阿部「…何考えてるの？」
優しく問いかけてみる。
阿部「怖くなった？」
「…」ちがうと首を振る
阿部「何か思い出しちゃった？」
「…」これもちがうと首を振る。
あまり質問攻めにしてもいかがなものかと考えていると、うわ言のように話し出した。
「間違いと思った行動が、
彼女の救いになってた。
あれで正解だったから、、
苦しんだのが正解ってことだから、
嫌だって思ったのが間違い？で、
逃げずにあのままの方がよかった…
ってこと…？
何か起こっても、
苦しむのが正解だから、
嫌だって思っても、
受け入れるのが正解
って、こと、なのかな」
…なんだか盛大な勘違いをしている
どうしたらそんな思考回路になるのか
阿部「A、」
「…？そういうこと、だよね？」
阿部「ちがうよ」
「ちがう…？」
阿部「確かにAさんの"何もしなかった"っていう行動は、人事さんの救いになったと思う。でも、その後に起きたことは、救いになってない。」
「そう、？」
阿部「助けたかったって言ってたでしょ？Aさんに苦しんでほしくないんだよ。」
「そっ、か」
阿部「苦しい、嫌だって思ったのは、本心でしょう？間違いなんかじゃない。本心に間違いも何もない。なかったことに、消しちゃいけないよ。」
わかったような
わかってないような顔をして
自分のことになると途端に
理解ができなくなるのは
なんでかな
.
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作者名：紫 | 作成日時：2023年12月30日 11時
