愛を問う(R.Abe)３ (ページ47)

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過去の代償.13 ページ47

阿部side.

横にいるAさんは、時折ビクッと震えてる。すかさず強く手を握るのだけど、こっちに意識はあまり向いてない。たぶん自分の感情を消していることにも気づいてない。だんだん目から光がなくなっている。

人事さんの言葉を遮って、突然大きな声が出た。けど続いた言葉は、とても小さかった。

「"そんなッ！"

　…私が、思っちゃい、けないとか。
　そんなこと、思わないで、下さい。
　そんなこと、ない。から、
　辛くないから、

　今は、あの時みたいに
　ひ、ひとりじゃない

　助けて、くれる人がいて
　安心をくれる、人もいて
　
　だから、こわく、ない。
　だいじょ、うぶです。」

言葉に詰まりながらも必死に伝えている。きっと自分と同じようになってほしくないって、思ってるんだろう。そして大丈夫だと、自分にも言い聞かせてるようにも思えた。
　

人事「…ありがとう」

「うぅん」首を振って答えていた。

深澤「全部、言えた？」

人事「はい、」

深澤「ん。とりあえず、その人についての注意喚起を全体連絡しようと思う。何かあったら、人事ちゃんもAちゃんも、すぐ教えて？」

人事「わかりました。」

「…」

深澤「…？Aちゃん、大丈夫？」

何も返事をせず固まるAさんに、ふっかが不思議そうに聞いてくる。

阿部「…ふっか、ありがとう。伝えとくよ。」

深澤「うん？ん。お願い。」

　この目はきっと
　今何を言っても
　きっと聞こえてない

.