愛を問う(R.Abe)３ (ページ43)

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過去の代償.9 ページ43

あなたside.

「…あの男性。知り合いですか？」

ぴくんと反応した人事さん。あんなに笑顔だったのに、急に何かに怯えていて、あの男の人のせいなのは明らかだった。

言いたそうにしてるのに、黙ったまま何も言えず、目を泳がせて俯くその姿は、自分を見ているようだった。

　こんな時、どうしてくれてたっけ。
　

今日たまたま一緒にしただけの自分にできることは、少ない。それでも、自分ができることをする。少しでも安心できるように。

「大丈夫です。ここにいるのは人事さんの味方です。安心して下さい。」

自分に似たその人に、私みたいになってほしくなくて、膝に置かれた震える手に、私の手を重ねた。

　味方がいるってことが
　わかるだけでも
　きっと心強いはず

人事「…なん、っで。あの時だって…」

「…あの時？」

なんのことかわからず聞き返すが、またモゴモゴと口をつぐんで俯いてしまった。少しでも落ち着くように、重ねた手をキュッと握る。

　わたし、人事さんとどこかで…？

深澤「Aちゃんさ。前いた会社、◯◯だよね。」

「はい。」

声をした方を見上げれば、険しい顔をした2人が。阿部さんが私と同じようにしゃがんで、私の空いている手をきゅっと握った。

阿部「俺、優しいAさんのこと。だいすき。」

　なぜいま…？

突然の告白に戸惑いが隠せない。

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