信じたい24..fin ページ14
.
阿部「いつもそばにいるよ。
遠く離れていても、
心はいつもそばにいる。」
Aさんの胸元に揺れる
ネックレスに手を伸ばす。
少し濡れた目がこちらを向き、
ピクンと体が跳ねる。
阿部「ね、そうでしょう?」
そして俺もネクタイを緩め、
一番上のボタンを開け、
隙間からネックレスを見せる。
阿部「Aさんは、俺のなんだから。
大人しく守られていればいーの。」
ネックレスから手を離し、
顔を真っ赤にして見上げる彼女の頭を撫でる。
阿部「ね?」
…これくらい言えば、伝わる?
自分の気持ちを押し殺しすぎた結果、自分で自分が見えなくなった彼女には、これくらいのこと言わないとダメなのかもね。
*
阿部「ね?」
と首をこてんと横に倒し、でも首元はネックレスが見えるところまではだけてて、急な色気と男らしさを向けられて、ドキドキしてしまって恥ずかしさで頭がいっぱいいっぱい。
「はい…」
これは別の意味で、パニックである。
阿部「じゃあ、帰ろっか。」
「…ぇ?」
阿部「一緒に帰ろ?」
「ぁ、でも私…まだ仕事が。」
阿部「同期の件で体調悪いから帰るってことにしよ。そう伝えてもらうから。実際そうでしょ?仕事が手につかないくらいだったんだから。」
「ぇ、なんでそれ知って…?」
なんで、仕事できてないの知ってるんだ。
阿部「Aさん見守り隊からの密告。」
…見守り隊…??
阿部「てことで帰るよ。警察が来てる今騒がしいうちに。ほらはやく!」
よく分からないまま、手を取られオフィスに戻り、駆け足で会社を後にする。
阿部「駆け落ちみたいだね。」
そう言って、振り返る阿部さん。
相変わらず首元がはだけたまま。
笑顔も仕草も全部キラキラして見えて
惚れてしまいそう
なんか、やけに大胆というか、
積極的なのは、私のせい…なんだろうか
.
.
fin
388人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紫 | 作成日時:2023年12月30日 11時