信じたい23 ページ13
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「信じて、いいの。かな」
阿部「…ん、?」
阿部さんの言葉を聞いて、思ったのは「信じたい」ってことだった
本当の自分を曝け出しても、きっと。きっと手を繋いでいてくれる。離さないでいてくれる。何度も何度も言われているのに、自分の気持ちに正直にいることができなくて、心がぐちゃぐちゃなのは、どこかで疑う気持ちがあるからで。疑わないと、離れていった時辛くなるから。でもこの人だけは、離さないでいてくれる。そうわかっていても、100%信じられているわけではなくて。
何をしても相手には勘違いさせて、自分も苦しくなって、迷惑かけている。私のせいでいろんなことが起こる。だから、逆に距離を取ろうと思った。元から距離を取れば、近づいてくることも離れることもなくて、何も考えなくてよくて、ひとりでいれば安心安全だと思ったから。
でも、その行動は阿部さんに対しては逆効果で。向井くんにも目黒くんに対しても逆効果だった。こんなにまっすぐに気持ちをぶつけてくれる人たちを遠ざけるのは、どこか苦しかった。
愛情、友情、仲間意識いろいろあるだろうけど、これが「すき」って気持ちなのかな。守ってあげる。受け止めてあげる。その言葉を信じたい。
魔法みたいに、全ての苦しみを拭い去ってくれるこの人は、繋いでくれてるこの手は、貴重で離しちゃいけないのだと思う。だから、こそ信じたいって思う。
阿部「信じてくれるまで、何度だって伝える。」
「…時間、かかるかもしれません」
阿部「大丈夫。ゆっくりでいいよ。自分を守るために、心閉してるのもわかってる。無理に踏み込んだり、こじ開けたりしないから。」
「ん…」
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作者名:紫 | 作成日時:2023年12月30日 11時