信じたい22 ページ12
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といった経緯があったものの。…まさか、殴ったなんて言えるわけもなく。
阿部「実はこの前さ。必死になりすぎて、同期殴ろうとしちゃって。それで今日だけ、謹慎になった。」
「殴ろうと、、？ぇ、謹慎ですか…？？」
私が知らないところで何が起こったのか、さっぱりわからない。でも。私のせい…、てこと。だよね？
「ごめんなさい、私が。逃げたから、」
逃げずに、ちゃんと断ることができれば、こうはならなかった。んだよね、たぶん。そもそも、また勘違い？させるようなこと、してたから。そうでなければあの人も阿部さんもこうなることはなかった。
阿部「Aさんのせいじゃない。俺が守りたくてやっただけ。後悔してない。それに、あいつもっと悪いことしてて、退職することになったから。なんだったら逮捕される。」
「ごめｯ…」
視線を落として、謝る。
全部私が悪いんだ。一度そう思えば、奥底からどんどん負の感情が出てきて、もうひとつの自分の心に飲み込まれそうになる。なんとか気を張って平静を保っていた自我が崩れそうだった。
『…、…！…。………？』
目の前にいるのに、阿部さんの声がどんどん遠くなり、聞こえないはずの声がどこからか、だんだんと頭の中に響き始める。視界までぼやけてきて、世界がぐるぐる回り出す。ぎゅっと強く目をつぶって、耐えようと構える。
…ギュッ
見えない世界の中、急に握られた手。その手はとてもあったかい。たったそれだけで、暗闇から現実へ引っ張り上げられる感覚になる。
阿部「Aさんは何も悪くない。大丈夫。ちょっといろんなものを引き寄せやすいだけ。その分、俺が守るから。
向井とか目黒とか親友さんとか、Aさんのこと助けたいって思ってくれる人みんなで守るから。
そのままの自分でいていいんだよ。泣いたっていい、怖がったっていい。一人で苦しむことない。全部を受け止めるから。」
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作者名：紫 | 作成日時：2023年12月30日 11時
