信じたい21 ページ11
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ここまでの証拠があっては、どうにもならず。社長まで出てきて、すぐにクビと言い渡された。そして、俺も今日は謹慎という扱いでこのまま帰ることとなった。
まあ相手本人が解雇された以上、俺に相当の罰を与える必要はないが、暴力沙汰を起こしそうになった事実はあるわけで。半日の謹慎のみとなった。
俺らへの罰を言い渡し、部屋を出ていく人事部長に声をかける。
阿部「あの、最後にひとつだけ。この方は、もうこの会社の人間ではないんですよね？」
隣で、小さくなり呆然としている彼に目線を送り問いかける。
社長「…？あぁ。もう少ししたら警察来るから。」
何かを察したように、一言残して部屋を出ていった。
阿部「…同期として一緒に頑張ってきたつもりだけど。こんなことしてたなんてね。失望した。」
…ﾀﾞﾝｯｯ
同期の胸ぐらを掴み、背中を壁に押し付ける。
阿部「…二度と近づくな。」
自分でも驚くほどの低い声で一言言い残し、扉へと足を進める。が、扉まで後一歩のところで立ち止まった。くるっと振り返り、壁に体を預け、この後起こることに絶望し、項垂れている彼の目の前まで行く。
阿部「…ごめん。やっぱり、迷ったんだけど。後悔しそうだから。」
同期「…なんだよ。」
……ﾄﾞｶﾞｯ
前触れもなく一発殴った。
阿部「それだけ。じゃあ。」
今度こそ部屋を後にした。
あーあー。
殴っちゃった。
久しぶりの感覚。
好きじゃないのに。
こっちも痛いしさ。
まあ、でも。後悔はしてない。
やってしまった焦りと、意外と冷静に俯瞰で見れている妙な感覚に、気持ちがふわふわしている。
ちょっと冷静になりたくて、目についたバルコニーへ出れば、浮かない顔で空を見上げている彼女を発見。
また、ここにいた。
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作者名：紫 | 作成日時：2023年12月30日 11時
