異常が日常の街によく似合う (ページ12)

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11話ページ12

私とクラウスは今、温室に来ていた。

「ここの花の水やりを頼んでも良いだろうか」

「もちろん」

最近はよく、ここの温室の花たちに水をやっている。

それは私が花好きということをクラウスは知っているからこそ頼みに来るのだ。

....というか、いつ知ったんだ。

「なぁ、クラウス。私が花好きなのは似合わないと思うかい？」

少しだけ昔話をしようと聞いてみた。

「昔....まだ家族と住んでいた頃の話さ」

昔はよく弟が苛められていて私がよく助けていたせいか、喧嘩が強くなった。

しかし、昔から好きな花だけは嫌いになれなくてこっそり家の庭で育てていた。

しかしそれがバレてしまい、翌日にはバカにされながら大事な花たちを踏みつけられてしまった。

「....荒らされた花を助けることが出来なかった私は自分の弱さを知った」

話を終えると水やりも終わる寸前だった。

「....私は君に花がよく似合うと思う」

....そうだね。シュライトもよく言ってたさ。

「姉さんには花が一番似合うよ」

「えー、そうか？お前の方が似合うじゃないか」

「ハハッ、何言ってんのさ姉さんは。花ってのはね、綺麗な人ほど似合うのさ」

あの頃の思い出が蘇り、懐かしくなってしまう。

「クラウス。ありがとう」

そう言い終わると水やりも終わり、私は温室を出た。

「んじゃ、おつかれっしたー」

「シュラ、帰るのかい？」

「番頭」

帰ろうとした矢先、コーヒーカップを持った番頭が話しかけてきた。

「もう、することがないんでね。あ、一緒に食事でもどう？」

....番頭は忙しいんだっけ。

「いいよ」

「えっ、あっ、良いのか....！！」

考えていた返事とは違ったものだから、ついビックリして変な答え方になってしまう。

「なんだ、俺とは嫌なのか」

「いやいや、全然」

番頭と食事することになりました。

その時、プルルルっと電話が鳴る音がした。