エピソード5【問うもの、問われるもの】 ページ6
家に出たあと、フラフラと歩いていた。
.....しかも、夜に。
あの天使?達と別れて、家に帰ってゴロゴロしていたのは良いものの。
夜になれば家族が帰ってきて、いつもの毎日。
「あーあー。どうすんのさー?今まで我慢してたのにさー?」
「え....?」
いきなり後ろから話しかけてくる。
後ろを向けば、影みたいに真っ黒な私がいた。
「本当、最悪。行くあてなんて、あんの?」
「.....こ、これから探すし....」
な、なんで.....そんなこと、言わないでよ。
これは幻想か想像か。
そう聞かれればどちらともNOだ。
きっと、どちらでもない。
「早く死ねば?きーっと楽になれるよ?」
「楽に....なれる....?」
いや、そんなこと考えちゃダメだ。
そしたら、私は悲劇のヒロインじゃない。
ただの、ニセモノだ。
悲劇のヒロインは、もっと苦しまなきゃいけないんだよ。
「....本当、嘘つきだよね?自分にまで」
「....我慢するしかなかったの」
「でも、家出しちゃったね?」
「.....我慢が出来なくなったの」
そう言うと、今まで明るかった声のトーンは一気に変わった。
「....何が、悲劇のヒロインだよ!!この嘘つきが!!!!!」
やめて....やめてやめてやめて。
私は.....私でなくなっちゃう....
....別に良くない?
私って、誰から必要とされているの....?
可哀想って誰か思ってくれた....?
「あはっ....私は、何だったの
....あはっあははははは!!!あははははははは!!!」
急になんだか笑えてきた。
何者にもなれない自分に。
誰かにもなれない自分に。
怒りと忌ましめ。
「あははは.....あー.....すんごい、虚しい....」
これでこそ、私。
でも....それは本当なのかな。
「あっ、あのー....」
「え?」
茶髪で黒猫を肩に乗っけている、青年に声をかけられた。
.....もしかして今の、見られた...とか?
まぁ、別に良いんだけどさ。
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