優しくない不器用な私と優しくてシンプルな君 (ページ2)

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2話　一冊の本....みたいなものページ2

真昼side

「クロ....言ってくれて、ありがとうな」

数時間後、やっと涙が止まり話をすることが出来るようになった。

「真昼.....」

「何も....言うなよ」

ただ、同情だけが息苦しく感じた。

そんな時、チャイムが鳴り響いた。

「....？こんな時間に誰だろ」

こんな時間と言っても、まだ7時。

しかし、客にしては遅い時間だなと思った。

「どちら様ですか」

「俺っスよ、俺！」

「ロウレス！？....とリヒトさん」

ロウレスの後ろには、リヒトさんもいた。

Aと仲が良かった、2人。

....と言うか、なんの要件だろ。

「あっ、どうぞ上がって下さい」

「じゃっ、お邪魔するっスー」

よく見ると、ロウレスの手には一冊の本.....みたいなものを持っていた。

ロウレスが読む....とか？いや、ないな。

とりあえず、テーブルの椅子に座ってもらい、向いあった。

「....今日ここに来たのは、理由があってっスね」

「天使見習い。天使から預かっているものを返しにきた」

ようやく口を開いたリヒトさんはそう言うと、ロウレスが本みたいなものをテーブルの上に置いた。

「これは.....」

「Aに言われたんス。もし....私に何かあったら、真昼くんに渡して欲しい....と」

俺は、一冊の本みたいなものを手に取る。

....以外と重かったが、それに構わず本を開いた。

1ページ目には、Aが死んだことについて書いてあった。

まるで、Aが未来透視をしたような。

「.....コレ...」

「不思議っスよね。

何故か、Aが死んでいることについて、書いてあるんスから。」

確かに、不思議だった。

そして、1ページ目にはこう書かれてあった。

＜＿＿＿これは、私の一生の話。

簡単に言えば、私が死ぬことは分かっている。

私は、優しい人になりたかった。

.....私は優しくなれた、だろうか？

否。それはないだろう。

真昼くんの方が優しいからね。

これは私の一生。つまり、これは私の追憶。

まぁ結論的に言うと、真昼くん。

私は幸せだったよ＞

と。俺はこれから走馬灯のように、彼女の追憶を始める。