二口君のホント (ページ12)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:29,784 hit

◆ ページ12

「なぁ、それってさ………期待、していいの？」

『え………？』

顔を上げると、真剣な目でわたしを見つめる彩斗と視線が絡まった

どういう意味………？

『わっ』

いきなり、彩斗に抱き寄せられた

『あや、と………？』

「俺、本気でAが好きだ。

その吐いた嘘、本当にしないか？」

ぎゅ、と強く抱き締められて抵抗なんて出来ない

放して

その言葉すら、出てこない

人に甘えたかったのかもしれない

バンッ

ドアが荒々しく開いた音にわたし達は驚いてそっちを見る

『二口君………』

肩で荒い息をしながら、こちらを睨み付ける

すごく、鋭い目だ

「俺、まだお前と別れる事了承してない」

『でも、わたしは彩斗が好きなの。

そういう約束でしょ？

それにこれは、二口君が言い出した事』

「そうだけど！

っ………でも、俺にだって好きな人がいるんだよ」

『そんなの知らないよ。

好きな人がいるなら、なんでわたしと別れなかったの？』

「お前と、あんな関係を作ってた時点で、間違ってた」

俯く二口君

意味分かんないよ

ホントに、二口君ってなんなの？

なにを考えてるの………？

「ずっと、素直になれなくてごめん。

・

・

俺、Aが好きだ」

二口君の真っ直ぐな瞳にわたしは思わず息を飲んだ