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054 番外編 ページ4

『零君!』

「どうした?」

『私、警察官になる』


飲んでいたコーヒーを勢いよく吹き出す零君。
ハロさんがそれを見てあたふたしている。


「待て、A。考え直すんだ」

『やだっ!決めたもん』

「いや、だって……今からか?」

『今から』


私の真剣な眼差しに見つめられため息をつく零君。
しかし、私は心の中でほくそ笑んでいた。

なんたってこれは!


「エイプリルフールか」

『そう!エイプリルフール……って、えぇ!?』

「騙されると思ったか」

『いや、私なら本当にやりそうじゃない……?』

「まぁ、確かに……強くなるためにテコンドー習ったり、守るために無茶する時もあるが」


そこまで言った零君が
少し不貞腐れながら立つ私に向かって歩いてくる。

そして、そっと優しく抱きしめた。


「でも、Aは僕を不安にさせるような人じゃないだろ?」

『そうだけどさ……近くにいた方が守れるし、一緒に仕事できたらどんなだろって考えたら』

「それ、止めなかったら嘘が嘘じゃ無くなってたな……危ない危ない」


眉を八の字にしながら笑った零君を見ると、
先日の任務でできた傷が頬にあった。

こんな綺麗な顔に傷なんて作っちゃってさ……。


『あっ、でも職探してるのはホントだよ』

「えっ……なんで」

『小説家は、いつか辞める予定だから』

「……じゃあ、いい就職先教えてやろうか?」

『なになに!』


そう言って、フッと笑う零君に詰め寄る。


「その就職先は……」

『その就職先は……?』

「やめた時に教えてやる」

『えー……でも、そんなすぐに就職出来ないよ』

「いや、出来るさ」


自信満々に笑った零君は、ソファーに戻りコーヒーを飲む。
私はその隣に座ってハロさんを膝に乗せた。


「そういえば、僕は明日から1ヶ月アメリカに行くからな」

『えぇ!?』

「なんだ?寂しいか?」

『寂しいに決まってるでしょ!ね、ハロさん!!』


私がハロさんと向き合ってグイグイと顔を近づけると、
ハロさんは困った顔をしながら零君を見た。


「そうか……まぁ、行く予定はないから安心しろ。
で?なんで寂しいんだ?」

『エイプリルフールめ……
理由?零君が遠くへ行くんだもん。心配だし、大好きで大切な人に会えないのは寂しいでしょ』

「……ははっ、負けたよ

どうやら、僕にはこの世で勝てない人が3人もいたらしいな」


そう言った零君はの横顔は、
とても凛々しくて綺麗だった。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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イアデビル(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください応援してます (2020年4月25日 15時) (レス) id: ef5404f845 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 松田さんカットで私もめちゃくちゃ叫びました笑笑 (2020年4月11日 17時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
shibuyu(プロフ) - 私も純黒の悪魔みたんですけど結構カットされてましたよね。残念…(泣)でも、この宮野さんは面白くて好きです!これからも頑張ってください!! (2020年4月11日 16時) (レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 『目を覚ましそうになった万人』ではなく『犯人』ですよ。 (2020年4月5日 7時) (レス) id: 31d42b3be9 (このIDを非表示/違反報告)
唯颯(プロフ) - もーりーふぁんたじーさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2020年3月31日 9時) (レス) id: 40f3f22d26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:唯颯 | 作成日時:2020年3月29日 2時

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