【3年A組】Espoir 2 - 卒業 - (ページ37)

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086話ページ37

柊「はい、起立。俺の授業を始める…礼。着席」

石倉「なぁ、ぶっきー。俺たち、ここに残る理由もうなくね？」

宇佐美「澪奈のフェイク動画を依頼した武智が捕まったんだから、もうやることないよね？」

兵頭「金だろ？身代金、いくらたまったんだよ？」

確かに、澪奈を死に追いやった原因である武智は捕まった。

たぶん、もう解放されると思っているかもしれないけど……

柊「俺の目的は金でもなければ、犯人を捕まえることでもない」

『澪奈がなくなった原因は武智大和がベルムズに依頼したフェイク動画だった。
が…それが全てじゃないの』

柊「むしろここからが本番だと言っていい」

魚住「どゆこと？」

柊「その答えは、たぶん明日になれば分かるだろう。だからお前たちには、もう少しだけ付き合ってもらう」

甲斐「Aのことは」

柊「それも、俺の目的と一緒に話す。というわけで、今回の課題は……自習」

まだなにか課題があると張り詰めていた空気が

先生の"自習"という言葉でプツンと切れた。

予想外の言葉に石倉君がコケる。

石倉「自習ってなんだよ」

柊「各自、好きなことをやって過ごすように。時間を有意義に使ってもらうためにプレゼントを用意した。A」

『ほーい……よっこいしょ』

石倉「てかお前、初日から思ってたけど年寄りか」

『もう私の体は若くないんだよっと……はい、ケータイと鞄！持ってっていいよ』

甲斐「ちょっと待てよ！ほんとにいいのかよ、俺たちに渡して」

柊「あぁ、これで家族や友人に連絡したい者はすればいいし、SNSに書き込みたい者は自由に投稿して構わない。
ただし、俺に協力してることは伏せてくれ。これは俺のためじゃない。お前たちのためだ」

『この事件が終われば、皆は普通の生活に戻る。もし共犯だと思われたら、その生活に支障をきたしちゃうからね。
それだけは、絶対に避けたい』

諏訪「でも、Aは？」

『あたしは自分の意志で、捕まってもいいと思ってやってるからいいのいいの！気にしないで』

心配そうな唯月に笑顔を向ける。

ちょっと背中が痛いし息が苦しいけど、あと少し我慢……。

柊「そのためにも…グッ、クルッ、パッ、な」

皆からは困惑の声が上がった。

先生…それはたぶん言葉足らずというやつです。

柊「大事な決断をするときは、グッと踏みとどまって、クルッと頭を一周させれば
パッと正しい答えが浮かぶ」