【3年A組】Espoir 2 - 卒業 -

076」話 ページ27

茅野「あの動画はなんなんですか？」

柊「俺が流したわけでも、Aが流したわけでもない」

茅野「あれってどう考えても……」

『っと、あぶね……』

柊「あぁ、悪い…はぁ…はぁ…」


私は倒れそうになった先生をさくらと一緒に支える。

薬飲んだのに…効き悪くなってきてるのかな。


柊「隠すのもっ、だんだんしんどくなって来た…っ、はぁ…
忘れたか？最初の授業の夜を…

あの時約束したはずだ。この事件を最後まで見届けるんだ」

『さくら、見届けよう』


私は先生を連れて準備室に入った。

モニターを見ると逢沢君が瀬尾君と魚住さんに

武智と豪翔大学について教えているところだった。


そう、武智は、選手の能力を見極めないで推薦する。

自分の名声や権力のために。

能力を見極められずに推薦された生徒の半数以上は

1年で大学を辞めている。


これは、澪奈に聞いたことだった。

私は、美術でしか成績を残していなかったから

スポーツ推薦とかは関係なく、武智に推薦の話をされることはなかったが、

澪奈がしつこく口説かれていて、私に話していた。

澪奈は豪翔大学に行った先輩に聞いたらしい。


確かに瀬尾君と魚住さんは、推薦をもらえてチャンスだと思っているかもしれない。

でも、その先が心配だ。


先生の痛みがおさまるのを待って、私は先生と一緒にマイボイを見た。

そこには、マイボイの人たちが例の動画に映っている男と

武智の共通点を見つけたというものだった。

同日テレビに出た武智の衣装と一緒だったらしい。

しかも決定的だったのが、靴。

イギリスの老舗ブランドの特注品と自慢していた靴。


先生はマイボイを見てからある人物に電話をし始めた。


柊「例の動画話題になってるみたいですよ」

相楽≪警察が撮影所に来たそうだ≫

柊「じゃあ、火薬などを調達してもらったこともバレたかもしれませんね」

相楽≪後悔はしてないさ。それより、藤枝さんは大丈夫なのか？マインドボイスに名前があがっているが≫

『大丈夫ですよ、相楽さん。私の意志ですから』

相楽≪そうか、あまり無理しちゃだめだよ≫

『ご心配ありがとうございます』


相楽孝彦さんはお父さんが働いていた会社の社長さんであり、文香さんのお父さん。

自分の娘と同じ境遇の父を最後まで気にしてくれていた優しい人だ。

もちろん、私との面識もある。

先生の計画に参加するまで、先生と相楽さんが繋がっていて

文香さんが元恋人ってことは知らなかったけど。

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