【3年A組】Espoir - 卒業 -

032話 -3月3日- ページ33

翌朝。

先生に起こされて教室に来た私。

先生は教卓の上にスマホを置き、なにやら軽く操作した。


柊「今日も俺の授業を始める。礼」


3日目ともなれば、バラバラではあるものの

しっかり礼をして、先生の着席という言葉で席に着く。


柊「どうだー、昨日は寝られたかぁ？」

水越「寝れるわけないでしょ」

柊「そうか。やっぱり暖房完備でも雑魚寝はきついか」


カーテンを閉めながら窓際を歩く先生。


甲斐「くだらねぇこと言ってねぇで、さっさと開放しろっ」

柊「なら、早いとこ真実を掴まないとな。……じゃあ、早速だが今日の課題を発表しまーす。

藤枝、電気を消してくれ」

『はーい』


藤枝って言ったり、Aって呼び捨てにしたり……

忙しい人だなぁ、なんて思いながら電気を消す。


柊「……これは、ドーピング疑惑に使われたフェイク動画だ。この動画をSNSに投稿したのは宇佐美だ。だが、撮影したのは別の誰かだった」


先生がリモコンを操作すると黒板をスクリーンに変わり、

澪奈のフェイク動画が流れはじめる。


甲斐「どうだか、罪を軽くするための言い逃れじゃねぇの？」

宇佐美「はぁ？」

柊「宇佐美が言っていることは本当だ。フェイク動画を撮った生徒はこの中にいる」


どこぞの探偵ばりのセリフを吐いた先生。

先生の発言に皆は周りをキョロキョロし始める。

まぁ、投稿者だけじゃなく撮影者までいたと言われれば当然の反応でしょう。

……いたた。ｂなんでかなぁ、もしかしてホントにぎっくり腰しちゃったかなぁ。

昨日は床で寝たわけじゃないし……変なの。


茅野「先生は誰か知ってるんですか？」

柊「だいたいの目星はついてる……藤枝は分かるか？」

『さすがに分からないかな。そんな頭良くないよ』

柊「そうか。……さぁ、正直に！動画を取った人！手を上げー“て”！！」


いや、だじゃれかーい。

なんかいつもより溜めるなぁと思ったら。


兵頭「あげるわけねぇだろ！！」


このやり取りも何回目だろうか。

それでも先生は、撮影した犯人に自ら名乗り出てほしいのだ。


柊「じゃあ、動画を撮った生徒を見つけないとな」

魚住「見つけるってどうやって……」

柊「昔から犯人捜しは、おまわりさんの仕事だと決まっている。……というわけで、今の話聞いてましたか？郡司真人警部補。
これから、問題のフェイク動画をあなたのケータイに送ります。」

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