031話 ページ32
柊「へぇ……リクエストしとけばよかったなぁ」
『しても絶対買ってきてもらえないやつですよ、それ』
柊「そうか?……まぁいっか」
袋の中を漁る私と一颯先生をよそに
刑事さんが話をつづけた。
五十嵐「まぁ、今はこっちも静観しているがな、このままってわけにはいかねぇぞ?うちには有能な部下がいるからなぁ」
柊「郡司真人警部補ですか」
五十嵐「あいつはもう相楽家までたどり着いちまった」
柊「大丈夫ですよ。こちらにも有能な協力者がいますから……ただ、それは厄介ですねぇ。退場してもらいましょうか」
そう言った後に五十嵐さんのズボンの裾を捲った先生は
ひどい、丸腰って言ったじゃないですかぁと銃を取り出す。
これは本物だ。
五十嵐「その後隠して持って来いって言ったのお前だろ!」
柊「じゃあ、かわりにこれを……」
五十嵐「いらないよっ」
漫才のようなやり取りをする2人を見て笑いがこぼれる。
ところで……と刑事さんが再び話し始めた。
五十嵐「君も何か目的があるのか?」
『ありますよ。先生と同じ目的です……量は2倍かな』
五十嵐「そうか……名前は?」
『藤枝Aです』
五十嵐「五十嵐だ……ん?藤枝って、まさか」
柊「五十嵐さん知ってるんですか?」
五十嵐「知ってるも何も俺は現場まで行ったからな……そうか、あの時の娘さんだったか。大きくなったな」
あの時、というのは我が家で起きた事件のことだろう。
何回か取り調べされに警察署まで行ったっけ。
ただ、あのときは自分のことで精いっぱいだったので、担当刑事さんの顔までは覚えていなかった。
柊「五十嵐さんの明日を生きる活力って何ですか?」
五十嵐「なんだいきなり……言わなくても分かるだろ。そのためにお前に手貸してんだから
Aちゃんも覚えとけ、この事件の結末にハッピーエンドはねえぞ」
柊「分かってますよ」
『承知の上です。なんなら自分が逮捕されても構いません……それぐらいの覚悟はしてますから』
五十嵐「そうか……じゃあ、俺そろそろ戻るわ。
あ、ちょっとお前一発殴ってくれねぇか。手ぶらで帰るわけにいかねぇからな」
黙って立ち上がった先生は廊下の幅だけ離れて軽く助走をつける。
そういうのいらねぇからと焦る刑事さんの声は届いていないようだ。
小走りからアクション俳優ばりのジャンプからのパンチ。
さすがに殴られる瞬間は目をつむったが、とても痛そうな鈍い音と
五十嵐さんの声が廊下に響いた。
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唯颯(プロフ) - LOVEさん» 私の誤字だと思います。ご指摘ありがとうございます。 (2021年2月17日 16時) (レス) id: f647fc3f6b (このIDを非表示/違反報告)
LOVE - 29話の「教師と先生」って一緒ですよね? (2021年2月17日 12時) (レス) id: ebb56eccf7 (このIDを非表示/違反報告)
唯颯(プロフ) - 柊一颯LOVEさん» いえ、大丈夫ですよ。こちらこそ、申し訳ありませんでした。 (2020年1月22日 20時) (レス) id: 40f3f22d26 (このIDを非表示/違反報告)
柊一颯LOVE - 唯颯さん» 唯颯さんと涼紅さんと同じ人物の人に酷いコメントを書いてしまってすみませんでした私は唯颯さんと涼紅さんと同じ人物の人に酷いコメントを書いてしまった事を物凄く深く反省をしています本当に申し訳ございませんでした(T△T) (2020年1月19日 23時) (携帯から) (レス) id: 0760400581 (このIDを非表示/違反報告)
柊一颯LOVE - 唯颯さん» 私は貴女涼紅さんと唯颯同じ人物の人だと分かっていたけど信じられません(怒)貴女唯颯はご迷惑お掛けしましたと思っているんですか(怒)私は貴女涼紅さんと唯颯同じ人物の人でもいい迷惑でした(怒) (2020年1月16日 18時) (携帯から) (レス) id: 0760400581 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唯颯 | 作成日時:2020年1月10日 14時