081. ページ33
❦
『私は自分を周りが言うような人間だと思えたことは一度もないの。いつも“私はそんな人じゃない”って思うくせに知らない内に周りが抱くイメージとおりの私にならなきゃって思ったりもして…不思議だよね。ジミン君の中の私もコンジュ？』
「俺から見たヌナは…」
寂しそうにも見えるヌナに一瞬言葉に詰まるけどナムジュニヒョンに言われた言葉がふと脳内に浮かんだ。
「ヌナは誰よりも臆病者で嫌われることを恐れる。でもそれはヌナの防衛本能だよ」、「例え空気的になんて答えるのが正解かわかっても、空気は気にせず自分の気持ちをそのまま伝えて」、「それがヌナに一番届くから」って。多分今がその時だ。
「ヌナは確かにコンジュだと思う。見た目も今まで見てきた女性の中で一番可愛らしくて綺麗だから、そう呼ばれることに違和感は一切感じなかった。コンジュそのものだって今も思ってる」
表情に影がかかったヌナの手を握って「でもね」って続ける。
「確かにコンジュだけど、こうしてはしゃいだり落ち込んだりしてる姿を見るともっともっと綺麗な美しい人だなって思うよ。いつも自分より周りの事を考えてる姿も、子供みたいにはしゃぐ姿も、少し抜けてるところも抱え込みすぎるところだって、ヌナなんだよ。そんなヌナが、俺は大好きだよ」
『ジミン君…』
「付き合いたいなんて言わないよ、ヌナにそう見られて無い事は分かってるから。でも伝えたかったんだ。ヌナが生まれた大切な日に、ヌナを愛してる人がいるんだよって」
ポケットにしまっていた小さな箱を取り出して、中に綺麗に収まったブレスレットをヌナの手首へとつける。ヌナをイメージして一からオーダーしたブレスレットは勿論ヌナに似合っていたけど、偶然か必然か奇しくもナムジュニヒョンがプレゼントした腕時計とも良く合っていた。
「ヌナの事俺たちは離してあげないし一人になんてしないからね。これは一人で歩こうとするヌナを停める手錠だからね！」
『ふふっ…みんなが傍にいてくれてるみたいだね？ありがとう』
「ずっと傍にいるからまた来年お祝いさせてね」
丁度そこでゴールにたどり着いたボート。もう終わりの時間だ。
「大好きだよ。いつでも傍にいるからね」
『私も傍にいるよ』
一瞬だけ強く抱きしめ返してくれて、ヌナは「行くね」ってボートを降りて歩いていく。
光に包まれてるヌナは、やっぱり儚くて物凄く美しかった…。
きっとこの光景を俺は忘れない。
❦
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 231人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
流空星(プロフ) - ゆきりんさん» ゆきりん様 コメントありがとうございます！今のところ続編は考えていなかったのですが折角お言葉を頂けたので考えてみますね！ (2021年1月26日 21時) (
レス) id: 6dd67c091f (このIDを非表示/違反報告)
ゆきりん - 続編楽しみにしております！！ (2021年1月26日 1時) (レス) id: 14affb9ac3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：流空星 | 作成日時：2019年7月17日 14時
