068. ページ20
❦ JK side ❦
「ヌナ！」
『兎くん、お疲れ様』
揃撮影を終えてやっとヌナのもとまで行けば、直ぐにキラキラした笑顔を向けて振り向いてくれるヌナ。
本当に、この世界でヌナほど美しい人はいないんじゃないかな。
この業界にいれば可愛い人にも美しい人にも出会う。
それに、色んな種類の可愛らしさや美しさを持つ人に。
それでもやっぱり今まで出会った誰よりもヌナは綺麗。
「ヌナ、少し甘めのものが飲みたいんだけどあるかな？」
『勿論、少し待っててね』
一度頷いてから飲み物を作り始めるヌナ。
お店じゃないからいつもより近くに感じるヌナの存在。
窓から差し込む日差しと、それによってできる陰影。
その姿をこっそり携帯で撮影したのは俺だけの秘密で、ロック画面に設定したのも俺だけの秘密にしよう。
『甘さ控えめのイチゴミルクです』
「ありがとう！」
差し出された薄ピンクのカップ。
一口のどに流し込めば大好きな牛乳の味と、俺好みの甘さすぎないそしてくどくないその味がのどを通して体に浸透していく。
ヌナは、多分観察力がずば抜けてるんだと思う。
こうしてアバウトな要望でもその中に含まれるものを瞬時に察して、こんなに完璧な飲み物を作ってくれる。
「ねえ、名前を聞いたら教えてくれる？」
『ふふ、私の名前何て面白くないでしょう？』
「俺は知りたいです」
のらりと話題を交わされそうな雰囲気に、逃すまいとヌナの手をそっと握る。
そうすれば少し困ったような表情を浮かべた後、『狡いなぁ』なんて言って柔らかい笑みを浮かべる。
ヌナだって、いつも余裕そうで「狡い」。
『…A、だよ』
「Aヌナ」
『ふふ、はい』
「…A、Aヌナ。やっと名前知れた！！」
ヌナの名前が知れて、ヌナの事が一つ知れたことがうれしくて、両手を上げて喜べば『大げさ』だなんて揶揄う様に笑う。
その笑顔ですら綺麗で可愛らしくて、ずぶずぶとヌナに嵌り、落ちていく。
『こうして、少しずつ進まなきゃ…』
「うん？」
『ううん…もっと、強くなって少しずつでも前に進みたいな、って』
「…それぞれ想いや抱えてるものもあるけどヌナなら大丈夫だよ。それにAヌナには俺も、ヒョン達も、ヒョジンだってついてるんだから！」
『ふふ、力強いね』
やっぱりAヌナは笑ってる姿が一番きれいだ。
ずっとずっとこうして笑顔でいてほしい。
できればその姿をずっと見守りたい…――――
❦
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 231人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
流空星(プロフ) - ゆきりんさん» ゆきりん様 コメントありがとうございます！今のところ続編は考えていなかったのですが折角お言葉を頂けたので考えてみますね！ (2021年1月26日 21時) (
レス) id: 6dd67c091f (このIDを非表示/違反報告)
ゆきりん - 続編楽しみにしております！！ (2021年1月26日 1時) (レス) id: 14affb9ac3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：流空星 | 作成日時：2019年7月17日 14時
