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……
『んっ……あれ?着いた?』
降谷「もうすぐ着く。どうした?夢でも見たか」
『初めて会った日の夢を見た』
降谷「あの時は驚いたよ。ベルモットしか会ったことのないバイオレットに会ったんだから」
『まさか、ベルモットが人を連れてくるとは思わなかった』
降谷「そうだな。それよりも俺は、Aが組織を壊そうとしてたことに驚いたよ」
『ははっ……でも、ベルモットだけは殺したくないな』
ベルモットは組織内で私を育ててくれた恩人。
誰にも接触させず、コードネームしか明かされてない私の手助けをしてくれる。
なぜかと問えば
“A secret makes a woman woman.”
と、言いながら私の口元に人差し指を立てて添えた。
降谷「明日、朝一で資料を見るか?」
『うん。それでも間に合うなら……そうしようかな』
降谷「じゃあ、俺も泊まっていく」
『え……やだ、降谷さん大胆』
降谷「やめろ。朝一で連絡を取るより効率がいいだけだ」
『ははっ……やだなぁ、知ってますよ』
私のセーフハウスであるマンションの駐車場に車を駐車する。
なんか荷物がいつもより多いから、送った後に登庁するって言う社畜モードなのかと思ったけど……。
珍しく予想は外れたらしい。
オートロックを開けてエレベーターで向かうのは高層階。
エレベーターの中で欠伸を連発していると、
降谷さんに鼻で笑われた。
『散らかってますけど、どうぞ』
降谷「別にキレイな部屋だけどな。俺はソファーで寝るから気にするな」
『いやいや、上司をソファーで寝かせるのは……。気になって私が眠れません』
ただでさえ、忙しい降谷さんを体を痛めやすいソファーで寝かせるなんてことは出来ない。
私は、ほぼ在宅で布団とは大の仲良し。
こんな時くらい、ソファーに行っても問題は無い。
私の言葉に考え込む降谷さんをよそに、
シャワーを済ませ、「うーん」と唸っている降谷さんを脱衣所に放り込んだ。
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作者名:唯颯 | 作成日時:2023年9月5日 5時