&JOYHOLIC (ページ44)

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Astory

キャリーを取りに行って

そのキャリーは照さんに引かれてた

『持ちます』って言っても

「いいよ」って言われて…

照「入んないの？」

『あ…お邪魔します』

広いリビングは

スッキリと整頓されていて

筋トレグッズがあちこちにある

照「上着貸して。かけるから」

『あ…すいません…』

照「そんな緊張しなくてもいいよ(笑)」

やたら「あ」を連呼してるし

察しの通りに

めちゃくちゃ緊張してる

照「大丈夫」

そっと後ろから

抱きしめられた

照「Aのペースでゆっくりでいい。生き急がないで大丈夫」

『ごめんなさい…』

照「何で？初めてだから？」

頷いた私の髪をかきあげて

照「俺らもうおそろいあるね」

『おそろい？』

同じ耳の位置にあるホクロを

照さんはそっと撫でた

照「男としてさ…こんな嬉しいことなくない？自分が初めてって。嫉妬する俺にはそうだよ」

自分の中の不安や恐れが

すぅっと溶けてくのがわかる

名前の通り

暗闇の中にいた私を照らしてくれた

照「大丈夫だよ」

慌てて涙を指で拭ってくれる

その指と手が暖かい

照「我慢すんなもう」

『うぅ…』

照「自分の気持ち正直に言っていい。一生懸命言おうとして泣きそうになるの見ていたら…守ってやんねぇとなって思うよ」

『…それだけじゃ嫌…』

やっと絞り出せた気持ち

『私も大切な人を守りたいです』

照「うん」

『自分の気持ち封印したり…我慢せずに…ぶつかっていきたい…』

照「じゃあ今俺にぶつけてみて？」

振り向いて

深呼吸を２回して

再び照さんを見つめた

ただ真っ直ぐ見つめた

『ひーくんって…呼びたい』

照「え？」

『呼び捨ては苦手だから…』

照「うん。いいよ」

『…敬語使わなくていい？』

照「いいよ」

言えた…

少しだけ力が抜けて

息を吐いたら

ピーッピーッピーッ

照「タイミング…」

『びっくりした…』

照「ゆっくり湯船浸かって休もうか？」