&JOYHOLIC (ページ39)

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Astory

ひとしきり泣いて

シャワーを浴びさせてもらった

向井「佐藤さん！？」

『向井さん！？何で…』

向井「何でって…失恋の傷を癒しに？」

『……』

向井「冗談。俺もキャンプ趣味で…まぁここ来たのは初めてなんやけどな」

勇人「アヒージョ作んの？食いたい！」

さすがだな…

人と打ち解けるスピードが最速

向井「佐藤さんも食べや」

火を囲んで

手際よく作られた料理を頂いた

向井「何で岩本さん断ったん？」

『断った…って？』

向井「いや付き合うの…」

『付き合うって…？』

向井さんは勇人さんと

目を見合せた

勇人「お前さ…ひょっとして処女？」

剛「言葉選び…」

向井「雑すぎるやろ勇人さん…あの…佐藤さん…お付き合いした経験って…」

『ありません…』

勇人「誰かを好きになったとか…」

『ない…です』

向井「今どきおるんかこんなん…」

勇人「天然記念物だろ…」

騒がしい勇人さんと向井さんを

やんわりとたしなめながら

剛さんが話し始めた

剛「学生の時は？」

『中高一貫校で女子校だったから…』

康二「そう来たか…」

勇人「そりゃそうだわ」

皆が言ってることが

イマイチよく分からない

剛「Aちゃん…照くんのこと考えたらどう？」

『え？分かんない…』

剛「照くんにされたこと…嫌だった？」

『…分からないから怖かった』

勇人「お前さ…照くんと居る時本当自然に笑ってるのよ」

康二「俺にはそんな顔せんのにーって思うことあった」

『皆して何なの…』

剛さんがゆっくりと口を開いた

剛「Aちゃん照くんのこと好きなんだよ」

『え…？』

私が……

部長を好き？

剛「思い出してみな？」

厳つい見た目に反して

甘いものが好きで

目をくしゃくしゃにして笑って

タバコを吸う時の横顔や唇に色気があって

優しくて…

気がついたら

泣いていた…

『うぅ…苦しい！世の中の女子はこんなの何回も経験してんの？しんどいよ！』

勇人「また逃げんの？」

康二「岩本さんも足速いし…行動力の鬼やからなかなか捕まえられへんで？」

『逃げたくない！もう逃げない！逃げたくない！』

ひとしきり泣いた

気付くのが

遅すぎた…