太宰 ページ15
「Aちゃ〜んっ」
治がそう呼んで、私ににっこりと笑顔を向けてきた。
.
…………訂正。にっこりと黒い笑顔を向けてきた。
「昨日、芥川君と遊んでたんだって?」
「誤解の無いように言っておきますが、“トランプ”で、遊びました。決して治の想像しているような野蛮な事は…」
「私以外の男とワーキャーやってる時点でアウトだよ」
そう言って、またニコニコと笑う。
やばい。目が全く笑っていない。
因みに言っておくが、私と治は恋人ではない。
「え、えと、治、ごめんなさいっ」
危険を感じて謝るが、もう遅かった様だ。
「嫌だね。実に不快だ。私のAに他の男が触れたかと思うと、吐き気がする」
「わ、私は治の恋人じゃ無いよ…」
「知ってるよ。そんなに恋人じゃないって事がひっかかるのなら、恋人になってしまえば良いじゃあないか。」
瞬間。
私のファーストキスは、呆気なく奪われた。
最初から深く、激しい。
「んっ、おさ、やめ……。」
必死に懇願するが、治は止めてくれなかった。
それどころか、キスは激しさを増した。相当頭にきていた様だ。
暫くして、ようやく治の唇が離れる。
お互いの口から銀の糸が垂れ、ぷつん、と切れた。
そして、目の前には唇を濡らして妖艶に笑う、治。
……治、女慣れしてるなぁ。
まぁ、治って美形だから、全然不思議じゃないけど。
「……私のモノになってくれるね?」
そう言って口の端を軽く吊り上げた治。勝利を確信している笑みだ。
その表情も色気があって、もっと見てみたいと思う私は、変なのだろうか。
「…………うん」
こう答えるしか無いだろうし。
「いい子だね。これからは私がもっといい子にしてあげるよ」
それは、どういう意味なのだろう?
そんな私の疑問は、直ぐに解消された。
太宰さんが黒い外套のポケットから包帯を取り出し、私の両腕をそれで縛った。
真逆、と治を見る。
私の想像通り、治は笑っていた。これからの事が楽しみだ、とでもいうような笑み。
「君は私のモノなのだから、私の好きにして良いよね?」
ーーーー
「評価していって。私の命令は絶対だからね?A」
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中也の手袋が欲しい - 最高すぎる!! (11月13日 15時) (レス) @page20 id: 194b92769c (このIDを非表示/違反報告)
JUN - 中也がかっこよすぎる!この小説最高だわ (2019年5月2日 20時) (レス) id: 97f39245ad (このIDを非表示/違反報告)
ゆうひ - なにこれ可愛い辛い (2018年10月5日 18時) (レス) id: 39d2cea73a (このIDを非表示/違反報告)
太宰ファン - 神小説きたーー!!! (2018年9月29日 9時) (レス) id: 6afcaca5b3 (このIDを非表示/違反報告)
太宰ファン - 太宰さんかっこよー! (2018年9月29日 9時) (レス) id: 6afcaca5b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オリーブ | 作成日時:2016年12月12日 23時