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( SOS ) ページ34

西川 side



卓さんは見る見るうちに痩せていった。



もともと体が小さくて、線が細いのに、それが浮き彫りになるように。





それにみんな気づいていた。


だけどもシーズン中やし、卓さんも何も話さないから、聞くにも聞けなかった。



ただ、俺はAちゃんとはずっと連絡を取り続けていた。




「卓さん、」



「ん?」



「飯、連れてってください。」



「……遥輝から言ってくるの久しぶりやね笑」



「いいでしょ、行きましょ、」



「うん、店決めとって、」



「はい!」









「「おつかれー!!」」


明日も試合があるから、ウーロン茶で乾杯。


試合の反省やら、世間話もほどほどに、


俺はこう話を切り出した。


「……卓さん、」


「んー?」



「Aちゃんと連絡とってます?」



「……いや、」



「Aちゃん、心配してましたよ、」



「分かっとる、」



「卓さん、」



「もし、彼女が死ぬほど努力して得た仕事が

自分のせいでクビになるとしたら………


遥輝ならどうする?」



「……それは、

彼女から身を引くか、仕事を辞めさせるか、どうかってことですか?」



「…………」




「………もし、俺なら、仕事を辞めてもらいます。」





「!!!!」




「俺のワガママかもしれないですけど、


仕事は何度でも挑戦するチャンスがあるから、

もう一度挑戦させてあげることってできると思うんです。


でも、ここで別れてしまったら、


もちろん、1人で泣かせてしまうことになると思うし、どうやっても

彼女を守ることなんてできないから、」




「……………」



「卓さん、考えすぎん方がええですよ。


自分がどうしたいかが1番大事だと思います。


Aちゃんは、卓さんが決めたことなら、

なんだって納得してくれると思います。」




「…………、ありがと。」


ふぅ、と息を吐いた卓さんはさっきより少しだけ顔が緩んでいて、


少しでも卓さんの背負っているものを軽くすることができたなら、


それでいいか、と思った。

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作者名:璃央 | 作成日時:2017年8月13日 16時

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