( 怒るに怒りたくない ) ページ16
鳥谷 side
「A、見なかった?」
「そう言えば、……見てないっすね、」
さっきからAの姿が見えない。
本人も、事務所にこもるより、選手とコミュニケーションをとりたいし、
状態も確認したい、と言ってたから、
なんかあったんじゃ……
「すいません、A見ませんでした?」
「Aちゃん?見ーひんかったで、なんかあったん?」
廊下ですれ違った矢野さんに尋ねて見たけど、知らないみたいで、
「さっきから、いなくて、
今日、ダウンしてる人多いから、あいつももしかしたら、って思って」
「そっか、じゃあ裏に伝えとくわ、」
「はい、すみません」
そのまま道具を持ってベンチに入る。
自分たちの試合前練習が終わった後、
ベンチに戻ると、何か騒がしい。
「なんかあったんすか?」
そばにいた平野さんに聞いてみる。
「なんか、裏方の子が倒れた?みたいなこと言ってたよ」
「トリさん、Aちゃんが、」
「……、大丈夫なの?」
近くの裏方さんに声をかける。
「はい、意識もありますし、
ただ、本人が少しショックを受けてらして、」
「そっか笑、」
負けず嫌いのAらしい、
自分の体調管理ができてなかったことに少し悔やんでいるのだろう。
「ホテルに、職員が一応送りました。」
「ん、分かった。ありがと」
とりあえず、試合前にAの行方が分かって良かった笑
俺たちは試合に集中して、一試合でも多く勝つ。
ファンのためにも、家族のためにも、支えてくれる裏方さんたちのためにも、
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作者名:璃央 | 作成日時:2017年8月13日 16時