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「………その指輪、
4年前に卓と俺で選びに行ったんだ。
陽平が選べば間違いないって言ってくれて、
Aちゃんが好きそうなの選んだの。
一目見た時分かったよ、あの時の指輪だって
卓、多分、Aちゃんがここに来るの待ってたんじゃないかな。
夢を叶えて同じ世界に入って来るのをずっと待ってたんだと思うよ。」
そんな、ずっと?
ずっと、私のこと信じて待っててくれてたってこと?
「ふふ、泣き虫なところは変わらないね笑」
もうみんなの前では泣かないって、決めてたのに、
だって、本当に私が夢を叶えられるかなんて分からないじゃない、
鍵谷 side
いつの間にか、Aちゃんも立派な大人になっていた。
卓と出会った頃から、
落ち着いた雰囲気で
高校生のくせに、周りがよく見えて、考え方が大人びてた。
見た目もとても高校生には見えなくて、大学生か、社会人に見えるほど。
人の気持ちの変化にすごく敏感で
人の表情とか、言葉、言い方、いろんな情報を瞬時に処理して、
すぐさま自分の取るべき行動を模索していた。
人の心の奥に潜む気持ちを察することに長けていて、
相手が1番欲しい言葉、言われたくない言葉を判断して、
人の心に寄り添うことが上手だった。
それゆえ、卓から紹介を受けてから、俺たちに馴染むのも早かったし
それが誰からも愛される所以だと思う。
しかし、
その見えない気持ちを透視する能力が高いがゆえに
色んな人に気を使ってはストレスを増やし、自分を犠牲にしていた。
Aちゃんも真面目な性格だから、心労を増やすばかりで、
Aちゃん自身が小さな環境の変化に影響を受けやすかった。
卓も特にそれを気にかけていたけど
Aちゃんは変化を読み取りやすい分、
読み取られないように隠すのがうまかった。
彼氏である卓にも隠し通した。
だけど、考え方が大人び過ぎているせいか、
その考え方と行動に、心がついてこなくて、
俺たちの知らないところで涙が溢れてしまうことがしばしば。
それに卓が気付けば、卓は自分を責めるし、
AちゃんもAちゃんで自分を責めるし、
Aちゃんの少し幼い部分にうまくいかないこともあった。
それを見兼ねて卓は二人暮らしを始めたんだけど、
彩ちゃんの件があって、2人が別れてしまい、
俺たちもどうにか助けてあげられなかったものか、と悔いていたところでもある。
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作者名:璃央 | 作成日時:2017年8月13日 16時