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「その時にね、
私が卓に嘘をつかせた。
卓がね、嘘をつく時、する癖があるんだけど、
……あの日、卓は
嘘をついて、私に別れようって言った。
私が卓に全てを決断させた、すごく負担かけてたと思う。
……ぜんぶ、ぜんぶ、私が弱いから、
隠すくせに、隠しきれなくて、結局みんなに心配かけて、
勝手に自分で自分を追い込んで、迷惑かけた。
その時、変わりたいって、強くなりたいって思った。」
「私、小さい頃からプロ野球が好きで、
ずっと戦う背中を見てきた。
卓と付き合うことになってからは、
それをすぐそばで見てて、
さらに憧れが強くなった。
いつか、卓とみんなと、肩を並べて
一緒にシーズン通して戦いたい、って思ってたけど、
あの時の私じゃ無理だって分かってたし、
今の半端な覚悟じゃ、一流選手のサポートをする立場に選ばれないと思った。
今の自分じゃ、みんなのサポートをするのが失礼だとも思った。
苦しんでも苦しんでも、前を向いて努力してる人たちに並んで
恥ずかしくない自分でいたかった。
もし、私が夢を叶えてこの世界に入ることができたら、
その時は、胸を張ってもう一度卓に会いたかったの。
あの時の私とは違うんだよって、強くなったよって、見てもらいたかった。」
「だから、
誰のせいとか、そんなんじゃなくて、
私が成長するために卓と離れることが必要だったんだと思う。
私が子供だったの、私が弱くて、甘かったから。」
「………がんばってきたんやな、」
「ううん、みんながここまで来るのにしてきたがんばりとは
比べものにならないよ。
何度も諦めようと思ったし、
思ったよりずっとハードルが高い道だったけど、
この3年間、卓がシーズン通して活躍してるとこみると
いつも、もう後には引けないって思った。
今諦めたら、そこまでだって思って、
もう夢とか、願望よりも、負けられないって気持ちだけだった笑」
「……Aちゃんは、
4年前より、綺麗になった、強くなった、
髪も伸びて、
でも、俺はすぐAちゃんやって分かったで。
負けず嫌いで、変わらずみんなに愛されて、人懐っこい笑顔で、
卓さんはこの4年間、一度もAちゃんのこと忘れたことないと思うねん、」
遥輝さん
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作者名:璃央 | 作成日時:2017年8月13日 16時