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数年前、大切な家族を亡くした。
閉じこもる私を心配した母は
別の恋愛で過去から私を救い出そうとしたらしく
興味もない見合いの席ばかりを
狂ったように用意し、私を外へ出そうとした。
いつまでも心を閉ざしていた私に父は
このままでは駄目だ、と何度も言った。
じゃあどうすればいい？
そんな私を救ったのが、仕事。
大好きな仕事だった。
「A監督、目を開けてもらえますか？」
メイクさんの声で目を開ける。
鏡に映る私の姿は、過去の私じゃない。
過去を受け入れて、また一歩前進した私の姿。
だけど、それでも。
ウニョクさんのステージに立つといつも
過去の記憶が蘇る。
大人の女性と、年下の男の子の切ない恋愛の別れの曲だというのに
大切な家族と別れたあの日の事を思い出す。
心が痛い。苦しい。辛い。
恋愛でも、そうじゃなくても
別れは必ず、痛みを残す。
その痛みをいつも思い出す。
でも私は、それでも。
それでも舞台に立ち続ける。
最高の舞台にしたかったから。
彼らの心に響く舞台の、手伝いをしたかったから。
ウニョクさんの目がキラキラしてたから。
その目に惹かれたから。
じゃあ今は、どうなの…？？
彼の役に立ちたいから。
そう思い始めている自分がいる事に
私自身が一番驚き、そして戸惑っている。
キラキラに輝いていた感情が
徐々にピンク色に染まっていくような。
そんな感じ。
彼が私の何を変えたのだろう。
もう二度と誰かにトキメキを感じたり
ドキドキしたり。そんな感情なんて
とっくのとうに置いてきたはずなのに。
それなのに彼は私の心に入ってくる。
近くなったのも最近で。
私は彼の何も知らないし、彼も私の何も知らないのに。
だけど、昨日感じた事は
彼に嫌われたくない、という私の本心。
彼に軽蔑された事が悲しかった。
「監督、スタンバイです！」
ウニョクさんの歌声を聴きながら
舞台下で目を閉じる。
ドンへさんの、ジョンスの奥さんを
私に重ねる切ない目を見ると
私もあの日の事を思い出す。そして、苦しくて、涙が溢れそうになる。
それでも私はやめない。
彼の役に立ちたい、そんな小さな気持ちを胸に
ステージにあがる。
「…泣いてる…」
ドンへさんが、私を見て小さく驚きの声をあげる。
「ええ、苦しいわ。
でもそれでもいいの。」
ジッと腕を組んで私達を見つめるウニョクさんの
突き刺さるような視線を感じながら
そっと、ドンへさんの手を離した。
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りこ(プロフ) - あーねさん コメ有難うございます！今月中に完結させたいと思ってますので！いつもありがとうございます、これからもどうぞよろしくです（＾＾） (2015年7月16日 13時) (
レス) id: 80f0c9f8dc (このIDを非表示/違反報告)
あーね - いつも楽しみにしています！たくさん更新してください！まってます！ヤキモチとか三角関係とか好きなので。。。笑楽しみにしてます！ (2015年7月11日 19時) (レス) id: 292f4be92e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りこ | 作成日時：2015年7月7日 15時
