・ ページ21
Aさんは、微動だにしない。
何も言わず、ただジっと俺を黙って見ていた。
時間の問題だったのかも、って思う。
トゥギヒョンから…彼女の過去を聞かなくても
俺はAさんの事が好きだったから。
確信に変わったキッカケは、あの日だったってだけで。
振られるとか、そんなのも考えるのはやめた。
いつも正面からぶつかっているAさんのように
俺も正面から、自分自身にも、彼女にもぶつかっていきたいから。
「…イ・ヒョクチェ。」
Aさんは俺の名前を呼ぶ。
冷静を装ったけど内心ドッキドキの俺とは全く正反対な様子の彼女には
まだ余裕があるらしい。
そりゃ、いろんなこと経験してきてるからかもしれないけど。
「それは、ウニョクとして？
イ・ヒョクチェとして？」
「どっちも。
Aさんはウニョクとしての俺しか知らないでしょ。
仕事しているときの俺はウニョクだから。
でも俺は…イ・ヒョクチェとしての俺を知ってほしい。」
「…ヒョクチェさんは、ジョンスから私のことを聞いて
何も思わなかった？」
「…何もってことはないけど。
Aさんへの想いには、別に聞いても聞かなくても変わんない。」
こういうとき、感情を表に出さない女の人って怖い。
Aさんは、そういうタイプらしい。
今まで見てきた女性は…みんな素直で、かわいらしくて。
というか、俺がそういう子ばかり好きだったんだけど。
感情が顔に出るAさん、だけど
こういう、大事なところっていうか…顔に出てほしいところで
出さない彼女はやっぱり手ごわい。
特に反応しない彼女に、自分自身一気に恥ずかしくなって
とんでもないことでも言ったような気分に陥る。
自分の気持ちを勢いで伝えたことを後悔しかけた時、
Aさんが口を開いた。
「…私なんかを好きなんてあなたも物好きなのね。」
「そうかもしれない(笑)
Aさんのことを好きになるなんて、予想外だったよ。
俺のシナリオにはなかったことだ。」
「舞台も人生も似たようなもの。
シナリオにはないことが、必ずおきるから。」
Aさんはそう言うと、ニヤっと笑って。
次の瞬間、俺は
勢いよく抱き付いてきたAさんに倒されていた。
・→←END and START ー Lee hyuk-jae ー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りこ(プロフ) - あーねさん コメ有難うございます！今月中に完結させたいと思ってますので！いつもありがとうございます、これからもどうぞよろしくです（＾＾） (2015年7月16日 13時) (
レス) id: 80f0c9f8dc (このIDを非表示/違反報告)
あーね - いつも楽しみにしています！たくさん更新してください！まってます！ヤキモチとか三角関係とか好きなので。。。笑楽しみにしてます！ (2015年7月11日 19時) (レス) id: 292f4be92e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りこ | 作成日時：2015年7月7日 15時
