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楽屋へと入っていったAさんは
風の速さで楽屋から出てきた。
綺麗にまとめあげられた髪の毛もほどいて。
綺麗に紅く染められたリップも拭き取られて。
綺麗に身体にフィットしていたワンピースも脱ぎ捨てて。
真っ白なタンクトップにスキニーデニム、
真っ赤なスニーカーで楽屋を飛び出してきた彼女は
さっきまで舞台の上にいた彼女とは、まったく違う。
もう、舞台監督の顔をしていた。
その手にはいつものスケッチブックにペン、
頭にはヘッドセットが装着されている。
「Aちゃん本当最高〜！
俺のこと愛してるって目をしたでしょ〜？」
ドンヘがヘラヘラと笑うとAさんは
「馬鹿、勘違い激しいから振られたんじゃないの」と毒づいた。
「え、まってそんなに傷えぐるの！？」
そう言いながらも笑ったドンヘ。
つい先日までの光景からは想像もつかないし
ドンヘの口からそんな言葉が飛び出してきたことが驚きで
俺はやっぱり２人は何かあったんだな、と思った。
きっとドンヘに前を向かせたのは、Aさん。
Aさんはニヤっと笑ってドンヘの肩をポンと叩くと
一瞬俺を見て、微笑んで。
スタスタと俺たちの横を通り過ぎて歩いて行った。
「…さっきのAちゃんもいいけど、
俺はこっちのAちゃんのほうが、似合ってると思うさ。」
足を止めて、振り返った俺達に気づくわけもない彼女は
パーカーを羽織りながら、既にもう指示をだしている。
俺たちのイヤモニに聞こえる彼女の声は
イキイキとして、格好いい。
涙を流したAさんも。
怒るAさんも。
笑う彼女も、いろんな彼女を見たけれど。
仕事をしているときのAさんは最高に格好良くて
最高にキラキラしてて、生き生きしてる。
生きてる、っていう感じが伝わってくる。
「…Aさんって本当に最高かも…。」
「…ウニョクにとって最高の女だって、俺も思うよ。」
「え、ま、何！？」
ドンヘはニヤニヤと笑うと
準備しなきゃ〜と俺を置いて、楽屋へと走って行った。
ドンヘを追いかけようとして、足を止めて
また、Aさんが歩いて行ったステージのほうを振り返る。
更に遠くなったAさんは
その足をとめることなく、まっすぐと歩いていた。
その背中に追いつきたい。
その隣に並びたい、そう思った。
…なぜか。
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りこ(プロフ) - あーねさん コメ有難うございます！今月中に完結させたいと思ってますので！いつもありがとうございます、これからもどうぞよろしくです（＾＾） (2015年7月16日 13時) (
レス) id: 80f0c9f8dc (このIDを非表示/違反報告)
あーね - いつも楽しみにしています！たくさん更新してください！まってます！ヤキモチとか三角関係とか好きなので。。。笑楽しみにしてます！ (2015年7月11日 19時) (レス) id: 292f4be92e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りこ | 作成日時：2015年7月7日 15時
